「半分幸せ」の考察~修士論文発表会参加レポート~【あつぎ版7月号より】

あつぎ版vol.7特別企画の記事をご紹介します。

ちょっと長いですが、子どもを育てながら働くことを考えるとき、
すでに働いている人にも考え中の人にも、
自分のこれまでを振り返ること・社会など周囲からの影響を受けて生きていると自覚することでこれから進む道が考えやすくなるかもしれません。

またお母さん大学生のみなさん!
新聞を書く、ブログを書く、コメントつけ合うって結構すごいことしているかもしれません!
(詳しくは読んでみてください♪)

お母さんに限らず、ぜひいろんな方に知ってもらいたい「『半分幸せ』の考察」をレポートします。


これまでの選択を振り返ってみたら人生変わるかも?

修士論文発表会 参加レポート

「半分幸せ」の考察

―育児離職した女性のライフストーリー分析による選択における個人と社会の関係性―

「子どもがいて、スキルも経験もない私たちみたいな主婦は、
半分幸せ でもありがたいと思わいといけないんです」

<はじめに>

上の言葉は数年前の育児離職者向けキャリアデザイン講座に参加した一人のお母さんの発言だそう。
結婚や出産で仕事を辞めた女性ならこの言葉に共感できる人は多いのではないでしょうか?

この「半分幸せ」にスポットを当てた市川望美さんの修士論文発表会。
市川さんは非営利型株式会社Polaris ファウンダーで一人のお母さんでもある。
3月までの2年間立教大学大学院 21 世紀社会デザイン研究科で学んだ集大成がこの論文だ。

FBで論文発表会の開催を知り、結婚退職後求職中に妊娠以来仕事から離れている私は副題を含めた論文タイトルに強烈に惹かれオンラインで参加しました。

「子どももいる、生活できている、でもこのままでいいのか?」とモヤモヤするお母さんにこの論文発表会から私が得たことをぜひ知ってほしいと思いご紹介します。

非営利型株式会社Polaris
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<私なりの要約>
(※論文発表会資料と当日の自分のメモから作成。表現を一部変更、追加等しています。)

★「半分幸せ」とは…

「全体100のうち50の幸せ」という量的な意味ではなくて、「働くか辞めるか」のような対極にある2つの選択肢から一つ選び、自分でそのことを幸せだと考えること。

この言葉は自己決定感の有無=自分の意志で決めた!と思えるかどうかによって意味が変わる。
「半分幸せ」に至るまでの道のりに自己決定感を持っていれば「半分幸せ」と言いつつ欠けているわけではなく「幸せ」にほぼ満足している。

★選択と社会からの圧力…

ただ、例えば働くか辞めるかといった個人の選択には、社会からの圧力が少なからずある。
主体的に自分が決めたように見えても、無意識的にも意識的にも、社会全体や家族を含めた自分のいるコミュニティにとって望ましい自分でいようとするため、社会からの圧力の影響を受けている。そして本当に望む選択肢が隠れて見えなくなってしまう。

★振り返って自分の行為を意味づける

反対に社会的圧力などにより「選ばされた」と感じているなら自己決定感を持てず欠落した感が残る。しかし、体験を語るなどによって、その選ばされた選択について、選択した瞬間だけでなく振り返って意味づけしていくことで、社会との関係性の中で主体的な選択を行うことができるようになる。


<参加後に考えたこと ー まさに私が求めていた内容でした!>

★振り返ること、過去をとらえ直すことの重要性

論文作成のために用いられたライフストーリー分析では3人の女性それぞれと個別に市川さんが対話していく中で、これまでを振り返り今の時点から過去の出来事を意味づける作業が丁寧に実施されていた。
自分に置き換えてみると、まさにペンを持ち、子どもとの日々のことや過去のことこれからのことをノートやこの新聞やブログに書いたり、それらに感想や意見をもらったりすることでライフストーリー分析に似たようなことができていたのではないかと思う。
書き始める前(=まだ子どもが1歳半頃でお母さん大学入学前)はなんだかモヤモヤしイライラし何もしてない気がして焦る気持ちがあったと思う。それが、娘との日常のほんの些細なことから書き始めていたら視点が少しずつ変わり、書き続けることで失われた自信が少しずつ取り戻せた。

★安心して語れる場or互いに語り合える相手の存在の重要性

市川さんの論文の肝は3人の生身の女性のライフストーリー分析(インタビューと対話をしそれを分析していく)だろう。
表面的ではでなく深い部分まで・さらに言葉になっていない部分まで読み取ることができたのは、市川さんと3人の女性との間に長い時間かけて培った「この人になら話しても大丈夫」という信頼関係ができていたからだ。
これをまた自分に置き換えて考えてみると、安心して語れる場・互いに語り合える人がいるというのは子育て中、またこの先どうするか迷った時、ものすごく助かった。
例えば、昨年まで数期、地元・松蔭大学の有志の先生方によって「ノーバディーズパーフェクト」という世界的に有名な子育て中の親向けプログラムが開催され、私は無料の託児に惹かれ2期参加。普通に子育てしているだけだったら時間切れでなかなか難しいお互いの考え方や想いを語れる場に参加でき、今もその交流は不定期ながら続いている。
またお母さん大学ではブログのコメントのやり取りや大学生のみのサイト等での交流があり、ふとモヤモヤした時いつでも語れる場がある安心感がある。
今、なんとなく「私の人生これでいいのかな?」「子育て大変、不安だな」というお母さんがいるはず。私も自力でやっていきたいが、市など自治体でも「支援」という形だけでなくお母さん同士のコミュニティ作りの支援に目を向けてもらえたらと思う。

★母こそ「ペンを持つ」「夢を持とう」、折々おしゃべり会やWEBで本音が言い合える場がある
ーお母さん大学、お母さん業界新聞の可能性と役割

完全に手前味噌的だけど、お母さん大学とそのテキストであるお母さん業界新聞の持つすごさ・可能性・役割を改めて感じた。「ペンを持つ」で自分を振り返れるし、「夢を持とう」で未来に目が向くし、毎月全国各地でやっている折々おしゃべり会では作業しながらだからぽろっと本音を語れることもあるし、お母さん大学WEBサイトでは幸せを感じたこともつらいと思ったこともさらけ出して交流してる。
お母さん大学生だけじゃなく周りの地域のお母さんにも安心できる場を提供し始めてるところにも今後、お母さん大学が担える役割の広がりの可能性をすごく感じている。

※ベースとなった論文: 市川望美(2018), 「半分幸せ」の考察 ―育児離職した女性のライフストーリー分析による選択における個人と社会の関係性― 立教大学大学院 21 世紀社会デザイン研究科修士論文(未公刊)

※今回この記事作成にあたり快く掲載を許可してくださった著者の市川望美さん・発表会に関わった皆さまに感謝致します。

ありがとうございました。

3 件のコメント

  • 幸恵さん、読み応えのある記事をありがとうございました。
    高学歴化したからこその女性の悩み苦しみも感じられるようになったはずです。
    そして歴史を感じていくとそこにも色んな女性の置かれた状況がわかります。
    私が感じたことを言えば、自立という言葉は戦後に前面に押し出されてきたはずです。
    それは国民がしっかり働いて食べていくことを目指すための自立。
    その自立は男が働き女が支えて家族を作っていくことであり、私の世代が男女の役割分担を暗黙の裡に仕向けられた・・・
    アメリカ発のウーマンリブ運動を横目に見ながら女の生き方を考えさせられていく時代に突入していました。
    そうして考えながら私の子育てのテーマが、親の自立とは、子の自立とはであり、最終的に個々の自立とはでした。
    このレポートを読みながら私もコメントを書きながら感じたこと。
    女が自立するという時代に進んできたことを感じました。
    女の自立と男の自立があってこそ、お互いに協力し合う関係が成り立つのですから。
    そう思うと過渡期の苦しさもありながら次世代へのバトンを落とさないように願いたいなと思いました。

    • 長い記事を読んでくださってありがとうございます!
      自分で選択してきたつもりでも社会的背景は無視できない、
      女性は特に流れに飲まれやすい、ですね。
      前に私のブログへのコメントでみっこさんが書かれていたことが論文にあったと感じました。
      今、本当に過渡期だから、良い方向にむかえるよう経験してきたことを女性がみな必要なときに振り返る仕組みが作れたらと思っています。

  • 曽我さん
    初めてコメント失礼します。横須賀の三代川です!
    過去の記事を拝見していて、とても心に響いたのでコメントさせていただきました。
    そう!自己肯定できずに、その狭間で揺れ動いてもやもやしている「お母さん」が、きっとたくさんいると思います。
    私もその一人でした。専業主婦は社会的にも弱い立場にいるのではとパートに出たものの、仕事が楽しくなれば家庭がおろそかになり、いつの間にか荒廃していく家の中…。それが原因でひずみがおきる夫婦仲。子ども達への申し訳ない気持ち。負のスパイラルにぐるぐると落ちていくのを体感して、もがいていた時期もありました。
    でも、このお母さん大学で「お母さんはすごい!」と言われ、とても心がほっとしたのを感じました。それでいいんだよ、お母さんはすごいんだよ、頑張っているよ、みんなで褒めあおうよ、みんなで一緒にお母さんを楽しもうよと、言ってくれた気がして、初めてお母さんでいることの自信を持てたように思います。
    私のように、自信をもって「お母さん」を楽しめるお母さんを増やしていきたいと思いました。
    長文失礼しました。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    曽我幸恵

    お母さん歴約3年、お母さん業界新聞あつぎ版編集長です。 厚木市子育てアドバイザー・ほっとタイムサポーター。 神奈川県厚木市在住、茨城県水戸市出身、学生時代住んでいた宮城県仙台市は第二の故郷。 また、絵本講師(NPO法人「絵本で子育て」センター)です。絵本の読み聞かせをぜひ子育てに!