産まれてきたかったわけじゃないの

赤ちゃんが生前に意思を持ってお母さんを選ぶお話は素敵なのでなんとなく信じています。

だけど私は産まれてきたくてこの世に産まれてきたのではありません。だから子どもを産んだ時も「混沌とした世の中に生み落としてゴメンね」と心の中で我が子に話しかけました。

…母はいつも父に怒鳴られていました。それは毎日何時間も続きました。私が中学生になると、こんなことなら母は父と出会わなければよかったのに!と思うようになりました。思春期とはそういうものなのでしょう、自分が産まれてきたことに困ったのはこの時で、疑問が浮かびます。なんで母は父と出会ってしまったのか。

どうして私は存在するのか?

不可解で、そして不愉快でした。

父と母の性行為で私ができたと思うと、気持ち悪いその思いを吹き払うように、自分という物質的存在の1番外側にある皮膚を強く痒きました。(ちなみにこの問題は手付かずのままです。オーガズムで放たれた精子で赤ん坊が産まれる理由なんて私が考えても仕方がないことなのです。)

話を戻して、大学はカナダへと決めたのはたしか高3の頃でした。電車に乗って田んぼ風景を眺めながら水戸にある県立図書館に通い、資料を見ながらビザ申請や学校選びをひとりで行いました。

成田空港に両親に見送ってもらったその日が、母と娘の独立記念日でした。母は目を赤くして泣いていました。私がゲートをくぐり見えなくなるまで手を振っていました。私は母親から距離を置き、母も娘との距離も置きました。

さようならお母さん、さようなら!

私は深呼吸し飛行機に乗り、別に興味もなかったフジコヘミングというピアニストの生涯が書かれたいただきものの本を読み、寝て起きたらカナダに着陸しました。

それから送った留学生活5年間で、ホームシックになったことはたったの1度もありません。初めて楽しいと思えた勉強とクールな友達たちが生活の中心になり、華の青春時代が到来します。芋っぽい私でしたが、私なりに楽しさが爆発した数年間でした。

そして芋娘は東京でキラキラした社会人(キラキラ芋)になり、もう2つばかり良いことが訪れました。

1つは、仕事をして給料をもらえるようになり学生の頃なかった充実感を得たこと。

もう1つは、人生を謳歌する人物と出会ったこと。この方の考えは私を変えてくれたので書いておきます。

「人生、与えられた地点から始めれば良い」というもの。

過去を振り返るのは時として必要だけれど、振り返り続けるのはよくないんだ!と、キラキラ芋は学びました。

すると新たな扉が開くのを感じます。母に対して抱いていた痛々しい感情がスーッとなくなり自然でフラットな関係が築けるようになりました。

こんにちはお母さん、こんにちは!

そして私も母となり、勝手に生み落としてごめんよと心の中で呟いた我が子にも、母が私にしてくれたように愛情はたっぷり注いで守るから、根を強く張りあとは自分で生き方を見つけてくれと願うのであります。

8 件のコメント

  • 武重さん

    お久しぶり。北海道は雪、深いかな?

    天真爛漫なみあちゃんしか知らない私には、この記事が新鮮でした。

    そして、わが子へ、こんな世に産んでごめんねというフレーズに共感。

    >人生、与えられた地点から始めれば良い

    でもね、あの日があるから、人生を謳歌する人と出会えるという考え方もあるよ。

    けど、今は、未来に向かっている武重さんでいいと思う。

    あと、何十年かしたら、過去を振り返る日が来ます。

    振り返るというか、向き合うというか…。

    その日が、さらに人生を謳歌する自分と出会えるかもよ。

    あ~、北海道に行きたくなりました。

  • 私もいつもむむむ…です(語彙力ない)。

    そして多分同じ県立図書館にいたかも?
    まだ新しいのが建つギリギリ前で、古くてCDたくさんあって。
    椋鳥が大量発生してました。

  • こんなに衝撃の記事を書ける、一体どんな方?
    読み終わって名前を見て、過去記事を読みながら武重さんの家族歴に重みを感じました。
    あなたの思春期時代、家を出る行動力、しかもカナダへ。
    一旦は傷を感じることが別の事に昇華できたんでしょうね。
    素敵な伴侶に出会い、家族物語が新しく始まりましたから、もう一度宿題に気づくときが来るかもしれません。
    それはとても必要なことだと受け止めていけたらいいですね。

  • 武重さん、素敵な文章~。武重さんが感じている問題はきっと、これから価値を生み出していく源になりますね。
    お母さんから武重さんに武重さんから娘さんに、つながっていくものは柔軟でとても強いんだろうなと感じました。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    武重美亜

    2018/6/30に女の子を出産。出産時の痛さが未だに信じられず、女性ばかりが辛い思いをする妊娠から出産までの仕組みにブチ切れて1年が経過。一体なんなの!? 神さま何してくれるの!