お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

出産前半戦

ついにこの日がやってきた。
今は出産前の妊婦が待機する簡易的な病室。簡易とは言っても、暖かみのある木目調のドアに、同じ質感のブラインドが窓にかかっており、光は間接照明で優しく部屋を照らしている。有名な産院ということだけはある。なかなか寛げそうな雰囲気だ。
そんな部屋の真ん中に鎮座しているリクライニング機能付きのベッドには、点滴を打っている奥様の姿がある。今は就寝中だ。第一ラウンドを終え、しばしの休息といったところだろう。
静まり返った部屋の中で、定期的にペースメーカーらしきものから謎のグラフが表示された紙が吐き出されてくる。その度に「ヴー」と携帯のバイブにも似た音が響くので、いちいち体が反応してしまう。

そろそろか?と思いながら早1ヶ月。もしもっと早く生まれていたら…出産に向けた買い込みは万全でなかっただろうし、仕事は中断していたかもしれないし、体調もすぐれなかったかもしれない。正直、いろんな意味でベストなタイミングでやってきた。

昨日の日中の検診までは「まだ子宮口も開ききってないですね〜」なんて言われていた。その頃はまだ私もコロナワクチンの副反応が治まりきっておらず、頭痛に悩まされていた。「体調を整えてほしいから」と近所のリラクに行ってくるように促されたくらいだった。しかし、帰ってきてしばらくすると、陣痛らしきものの痛みとペースは明らかに増してきた。

夕食は帰り道に買ったモスバーガー。なかなか行く機会がないし、お互い料理する体力がないからと選んだ選択肢だ。ベッドで寝ながらでも食べれるであろう手軽さも、今の体調には丁度良さそうだった。サイドメニューのポテトを所望されたが、今はジャガイモが不作だからか、オニオンリングとのセット販売しかしていなかった。ふと、ジャンキーな気もしたが、この瀬戸際にそんなことを気にしても仕方がない。一応メインにはモス野菜バーガーをチョイスして、少し健康に気を遣ったフリをしておいた。

ベッドで横になると、痛みの強さと頻度は増してきた。初めは10分間隔で、顔を顰める程度で済んでいた痛み。それが立っていられないようになり、痛みに耐える声が大きくなり、側から見ても辛そうだ。本人曰く、「急性胃腸炎と同じくらいの痛みだから、泣くほどではない。耐えられる」とのこと。…急性胃腸炎も大分辛いのではないだろうか?冷静に痛みの強度を分析できる姿に、安堵させられた。慌てても仕方ない。どっしり構えよう。

その状態で2時間近く。痛みの間隔も6分程度になっていたが、対処にもお互い大分慣れてきた。ゴルフボールを二つ用意し、腰にぐりぐり。最初はベストポジションを見つけるのに苦労したが、後半は一発で当てられるようになった。「もうちょっと耐えられなくなってきたら、病院にも連絡しようか?」そんなことを話しながらも、痛みのない間は携帯をいじる余裕も出来てきた。ブログのコメントにも返信返信。そんなことをしていると、携帯が鳴った。うるさい。母からだった。やかましい。電話に出ると、「陣痛6分間隔は病院に電話しろ!」と言われた。なんだろうこの、宿題をやろうとしていた時に、「宿題やれ!」と注意された感は。いくつになっても母親にはこういう想いを抱いてしまうものだろうか。

そんなことを思いながらも、人生の大先輩の言である。確かに、病院の受け入れ態勢とかも整える必要があるのかもしれない。すぐに電話をすることにした。今振り返ってみると、確かにここで電話をしたのは正解だった。何故って、診察券を探すのに手間取ったからだ。電話では、診察券に書かれているIDを伝える必要があった。もし痛みがピークのタイミングで探していたら、奥様に無用なストレスを与えていたことだろう。母さん、うるさいとか思ってゴメン。ありがとう。

結論、「まだ前駆陣痛の可能性もあるので、もう少し様子見ましょう。痛みが強くなったらまたお電話ください」で話は終わった。ちなみに、電話の内容自体はこんなものだ。「いつから痛くなりましたか?間隔はどのくらいですか?血は出ていますか?生理と比べてどのくらいですか?痛みの強さはどのくらい強まってますか?」と。
話していて思ったが、何がどうなっていれば病院に行っても追いかえされないのだろうか。そこについての質問はしそびれてしまったので、分からずじまいだった。でも、1番気になっていたのはそこだった。

2:37。「いたっ!」という声で目が覚めた。明らかに寝る前より辛そうだ。どうやら頻度も増えているらしい。既に間隔は3分台に入っていた。3分台より短くなると、分娩台行きになってもおかしくないらしい。これは…きてるやつだな?すぐに病院に電話をした。
「間隔が短くなって痛みが強い…病院に来ますか?」ニュアンスがやや病院に来て欲しくなさそうな雰囲気を醸し出していたが、まぁ気にしても仕方がないだろう。大慌てで着替えをして、買い込んだ食料その他に、立ち会いに必須のワクチンの接種証明書を用意し、家を後にした。その間、奥様は3回痛みを訴えた。しんどそうだ。何が出来るだろうか。

行きの車中、奥様のおでこを触ると、いつもより明らかに冷たい。エネルギーをお腹に回しているのだろうか?暖房のパワーを最大にし、お気に入りの音楽を大音量で流す。途中ファミリーマートに寄り、2人のお気に入りの商品「SPAMむすび」の新商品、てりやき味を買った。食べたいらしい。食欲があることはいいことだ。買って帰って来ると、痛みで唸っていた。本当に寄る余裕があったのかはちょっと気になったが、美味しそうにおにぎりを食べていたので、たぶん良かったのだろう。

病院に到着したが、夜間ということもあり静まり返っていた。ともすれば、たまに赤ちゃんの鳴き声が聞こえて来る。これは生まれたのだろうか、それとも夜泣きだろうか。
夜の病院というと、不気味なイメージを持っていたのだが、ここ赤枝医院はそんなことはなかった。ロビーはホテルのように洗練されており…というかホテルだこれ。何はともあれ、この雰囲気は良い。病院にありがちな死の雰囲気を纏っていない。なるほど、内装が綺麗ということはこんなにも安心感があるものなのかと感心した。

受付を済ませると、ヨロヨロと歩く奥様が先に何処かへと連れて行かれた。「旦那様はここでお待ちくださいね。」そう言われた。30分が経過した。音沙汰がない。そう思った矢先、声をかけられた。ビックリするだろう。ゆっくり声をかけてほしい。「奥様、これから処置をするのでもう少しお待ちくださいね」処置ってなんだ。もう少しってどれくらいだ。いろいろ思ったが、うまく質問の言葉が出てこなかった。今俺の疑問を解消してもなんの役にも立たない。夜勤で忙しいであろう看護師さんの手を煩わせるわけにはいかない。そんなことを思いながら、また30分。遅い。長い。こんな感じなのか立ち会い。イメージと違う。あの扉の向こうでは奥様が戦っているのだろうか?というかこの時間はなんなのだろうか?戦っているなら側で応援したいのだが、状況が不明確なのでやきもきする。そんなことを考えていると、奥様の部屋に通された。ここで冒頭に移る。

さて、現状を整理すると、どうやらここからしばらく時間がかかるらしい。子宮口はまだ開ききっておらず、これが十分な大きさになったらようやく分娩台行きということらしい。
私はというと、ここにいていいらしい。と言っても、リクライニング機能なんて付いていない椅子がベッドの横に置いてあるので、そこに座っているだけだ。頑張れば寝られそうだが…

とりあえずここまでの経緯を記せたので、一旦寝ることにする。20時間以内には終わるらしいので、明日の夕方には娘と対面できるのかもしれない。
まぁ、最悪のケースだとこれから帰される可能性もあるらしいけど…

なんにせよ、ついにここまで来た。伶奈の誕生日は2022/3/4になるのだろうか。2-3-4でなかなか分かりやすい。生まれた時には、自分にどんな感情が湧き上がるのだろうか…

24件のコメント

今起こっていることですよね。
ものすごく、近くで一緒にいる感じ…
はぁ、私までおばあちゃんの気持ち…(青柳さん、すみません)

あとは、じっと待つのみ。ドキドキ

すでに結構辛そうですね・・・
陣痛室と分娩室が分かれてる病院なんですね。
陣痛が強くなってから子宮口が全開になるまで、が1番しんどかったなあ。

いよいよですね!
ついに青柳パパ誕生の日!

この記事もとてもいい記録になりますよ!

よくその間隔までおうちで頑張りましたねー!!陣痛室そうでした!そうでした!
れおさんの記事を読んで記憶がふわあと蘇るし、夫はこんな気持ちで待っていたのかも。と思いました。
そりゃあ、何もすることなくて気を紛らわせるためにゲームするわ!と。笑
れなちゃん、奥さん!れおさん!頑張ってー!

あぁー奥さま、今、痛みと闘っているのですね。思い出すと、辛い辛い。痛い痛い。。。
そうそう、陣痛間隔が狭くなってきて痛みのピークが来て、一瞬落ち着いたと思ったらまたすぐ来るあの痛烈な痛み。
それを数時間耐える時が辛い。ゴールが分からないのがきつい。
私は、きっと明日の朝には痛みもないし赤ちゃんも横にいる!あと少しあと少し、と思って過ごしました。

頑張れー頑張れー!

余談ですが、3/4は下の子の予定日で、両親の結婚記念日。私も玲奈ちゃんの誕生日は忘れないと思います。

やかましいお母さんは、病院に向かっています。

あと少し、まほさん、がんばれ!

レオパパは、何もできんから、まほさんのそばで、背中や腰をさすってね。

藤本オババも、祈っています。

1番身近にいる旦那さんの支えがある事がなにより力になると思います。
きっと家族初めお母さん大学生皆いまかいまかと待っているのだろうなと感じます。
ここに全国の母ちゃんの思いが集まってるように思います!

陣痛の合間の奥さまの笑顔が見れて、ホッ。レオさんもまだ冷静そう!
陣痛の波は辛いですが、赤ちゃんも狭い狭い産道を一生懸命に通ってきます。伶奈ちゃんも頑張っています!
一緒に貴重な場面に立ち会っている感覚になっています。既に泣きそうです。
青柳さんも待ちわびたお孫さんの誕生、今の青柳さんの気持ちも含めて、既にうるうるです。今日仕事が手につかなーい!!

わたしも既にうるうるですー!すごいお母さん大学ファミリー♡こんな風に発信してくれるから、リアルタイムで気持ちが飛んでいきます。

奥様、れなちゃん、れおパパ、がんばってー!

奥さん、すごい!痛みに強のか…よくおうちでそこまで耐えましたね!
きっとあと少しですね!奥さん、れなちゃん、レオさん、頑張れ〜!あとちょっとで会えるよ〜!
それにしてもこのレポもコメントもすごい!パワーが溢れてる!感動ものです!

麻酔入れたので、全部自力でやり切った先輩方にはちょーっと奥様も申し訳なさそうだったのですが…
母体は今も大変元気に過ごしております!
それにしてもダメージが少なくて…

素晴らしい父ゴコロ!!臨場感あふれる〜!
密かに読みつつ応援していたのだが、思わずコメント!
貴重なお父さんの心の声。助産師としても勉強になります。
ちょっとした声かけやトーンや表現の仕方、大事だと改めて気づかされます。

っていうか、ほんとここ数日ドキドキしてただただ祈りつつ待っています!
またご報告お待ちいておりますが、
どうか大切なご家族との貴重な時間
新しい家族のスタートの時間をゆっくりじっくり味わってくださいね♪

助産師さんにはたくさん助けていただきました!!!
っていうか、横で見ている身の上だと誰がなんの役割なのかよくわかっていないんですけど…

やっぱりポジティブな声掛けいっぱいしてもらえたのは安心につながりました!!!

ひぁー!!れおさん、大変な中、実況報告ありがとうございます!!
ほんと、こちらもドキドキ!!
こんなタイムリーに投稿できるのは、お父さんだからできることですね!!
痛みに闘う母にはできない〜
きっと一生の宝物!!
ご対面楽しみですね♡
出産後には、ちゃんと奥様への感謝の一言を忘れずに!!!♡
私のように一生の恨み言になりませんように!笑

いっぱいアドバイスいただけていたおかげで、今のところ恨み言は言われずに済みそうです笑
奥様が余裕あったので、記録に残せる時間が出来たのも結果的によかったな!と思っております(`・ω・´)

コメントを残す

ABOUT US
青柳伶旺
多摩市在住の新米パパです! 普段は都心で営業マンをしています。 社内婚の奥様と、ゆるゆる毎日過ごしています。 趣味はボードゲームとドライブ。料理は夫婦で練習中です。 よろしくお願いします(=´∀`)