お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

コバルトブルーに映る、母たちの影

旧県立外語短大の跡地にできた岡村西公園(磯子区岡村)の工事中に、
15年ほど前に埋められたタイムカプセルが見つかった。
なぜか自分のことのようにワクワクした。
変わらないものたちが運ぶ感動はドラマチックだ。

「タイムカプセル」という名の和ガラス専門アンティークショップが保土ケ谷にある。
戦前の薬瓶や駄菓子屋で売られていた物を中心に陶器や漆器も扱う。

駄菓子屋といえばビー玉やおはじきを想像するが、そうではない。
並ぶのはひょうたん型のガラスの入れ物。ニッキ水やみかん水が入っていたものだ。
みかん水とは、色と香りをつけた子どもの飲み物で、当時は冷蔵庫もないため、果汁は使用していなかった。
使い捨てられるように薄くつくられ安価だった。
だからこそ残っているものは貴重だ。

「どうぞ手にとって光にかざしてください」と静かに声をかけてくれた店主の入山良弘さん。
言われるがまま、瓶を掲げてのぞき込むと、そのブルーは濃淡もまちまちで気泡が入っていた。

和ガラスを愛するコレクターは、世界にたった一つの瓶を探して、この店を訪れるのだ。
まるで天然石。
時代に埋もれたガラス瓶たちを丁寧に掘り起こす。

常連客にはお母さんも多いと聞いて驚いた。
幼稚園に子どもを送りがてらにふらっと訪れ、2時間ほどのおしゃべりで、
子育てのあれこれをここに置き、小皿を買って帰る。
200円の大正ロマンが食卓に並ぶとき、いつもとはちょっと違う日常を感じるだろう。
どんな子育てをしていたのかな。
みかん水はどんな味だったのかな。
醤油を注ぎつつ、当時の母たちに思いを巡らせて。

(お母さん業界新聞横浜版2021年5月号 編集長のYOKOHAMAさんぽ より 植地宏美)

タイムカプセル
横浜市保土ヶ谷区常盤台21-23
https://www.instagram.com/s.timecapsule/?hl=ja

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ABOUT US
植地宏美
お母さん大学横浜支局。 お母さん業界新聞横浜版編集長(2019.10〜2021.12)。 長女21歳、長男17歳、次男15歳。 お母さん大学をものすごく、楽しんでいます。 結果、 お母さんをものすごく、楽しんでいます。