手を差し伸べる勇気

雨が全然降らない日が続いたある日の祝日。
私は息子を抱っこ紐に抱えて急ぎ足で買い物をしていた。
これが終わったら次はあれをして、これをしてって考えながら、とにかく目の前のやることの時間を少しでも短縮したいというそんな気持ちだった。

そんな時、同じく抱っこ紐に赤ちゃんを抱えた自分よりも少し若めのママから急に声をかけられた。

「この辺りに授乳室はありませんか？」

息子よりも月齢が少し低そうだったけど赤ちゃんを同じように抱えていたからか、一回すれ違ったかな？となんか覚えていた。

ただこの辺りは商業施設もないし授乳できるところが全然ない。

どこかのトイレで授乳も考えたが、10分以上かかるだろうからだれか来てしまうかもしれない。
近くの小児科も思いついたけど、あいにくその日は祝日だった。

抱っこされた赤ちゃんはけろっとしていたが、聞くところによると30分以上も授乳室を探して歩き回って泣きのピークが過ぎてしまったらしい。

するとその方の旦那さんが少し前から歩いてきて、ゆっくり座れそうな場所を見つけた！と。
ただその場所はハンバーガーチェーン店だった。

”人目につくし、隣とも席が近いだろうし緊急とはいえ結構勇気いるよな。。。。どうしよう。”

「うちに来ますか？」

気が付いたらとっさに口からでていた。
言った後に、急だから家散らかってるし、お昼食べた後でにおい残ってそうだし、初対面でいきなり家あげるなんてとか一瞬よぎったけど、お腹を空かせた赤ちゃんに早く安心して充分に授乳できるのは自分の家しかないと思った。

初対面で家にあがるのはさすがに申し訳ないです！！と言われたが、絶対ハンバーガーチェーン店で授乳するよりはいいと伝え、結局そのママさんもその方がいいと判断し、うちに来ることになった。

無事授乳でき、ママさんからたくさんお礼を言われた。
赤ちゃんも満足したのかすやすや寝ていて、人のために行動できてよかったなあと思った。

しかもそのママさんと話しているうちに、ちょっと離れているけど歩いて行ける距離に住んでいることが分かったのでLINEを交換してママ友になった。
これは単純にうれしかった。

ママはみんな同じように育児に奮闘する仲間。
困ったときには一番気持ちがわかるはず。

最近歩き始めた息子の手を取るように、ママへもまた手を差し伸べられる私でありたいなと思う。