6月末に父が事故で入院した。退院しても運動機能が低下して歩くのがしんどくなり、無理をして熱中症で再入院。8月の誕生日を自宅で孫と祝いたい一心で退院したが、お盆に呼吸機能の低下で3度目の入院となった。いつも通りに過ごせていた「日常」は、実はすれすれのところで成り立っていたのだと思い知らされた。
これまで何でも一人でこなしてきた父の体調不良。片道2時間かかる実家に通い、ご近所に助けられながら、子どもたちと田んぼや庭木の世話をする夏になった。
実際にやってみて、父が日々こなしていた作業の多さに驚愕した。田んぼの泥の中を歩き、カニが開けた穴を一つひとつ塞がないと水は溜まらない。あの足で杖をつき、ちょぼちょぼと歩きながら穴を塞ぎ、草を取っていたのだ。これまで私たちは、少し田植えを手伝っただけで、「やっている気」になっていた。
水不足の田んぼにドロドロなって水を溜めてしばらくすると、「生き返ったよ!」と言わんばかりに苗の先に水滴がつく。その美しさに感動すると同時に、「じいちゃん、こんなにたくさんのことをしてくれとったとね。手伝いが足りんやったね」と病室で声をかけると、父は涙もろくなっていた。
いつも私たちを見送ってくれる父。「足も悪いし、息も苦しいから部屋でいいよ」と言っても、必ず玄関まで出てくる。ある日、玄関まで出られず、ガラス戸の向こうに座って見送る父の姿が見えた。小さくなった父に、「じいちゃん、また来るね!もういいよ!」と叫びながら、私も子どもたちも胸を詰まらせた。
できるようになったことを喜ぶ「子育て」から、できなくなることを受け入れていく「介護」へ。これもまた、命の順番なのだろう。
頭がぐるぐる回り、環境の変化を受け入れるきつさはあるが、仕事終わりに通ってくれる息子たちや、支えてくれる周囲に感謝しながら、変わりゆく日常を精一杯こなしている。父が私たちを常に見守ってくれたように、私たちもできる限り父を見守っていきたい。
(田川亜寿香)
お母さん業界新聞10月号 あすか母さんのドタバタ日記


































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