お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

ある晴れた夏の朝~私の8月6日

ベッドに横たわっていると、洗濯ものを干していた娘が、
「暑くて息ができな~い!」とベランダで叫んでいた。

地球、大丈夫か?
宇宙より地球乾杯にしてあげなければいけなかったかも。

4日ほど前のこと。
夏風邪をひいたようで、微熱。クーラーにやられたか⁉

普通ならこれくらいの風邪では病院には行かないが、
日頃から飲んでいる血圧の薬が切れそうなので、出かけたついでに病院へ。

問診表に、「節々が痛い」と書いて出すと、
看護師さんから、インフルエンザの予防注射しますか?と言われたので、
いや、もう風邪気味だし、と断ると、
今度は、「コロナ検査しますか?」と言われた。

「えっ?コロナ?」 想像もしていなかったけど、
まぁ、検査だけならいいか。
日頃、お世話になっている病院なので、
少しくらい売り上げに貢献しようと、検査を承諾。

3分後に、「はい!コロナで~す」と、看護師さんの元気な一声。

居酒屋で注文していないのに、コロナビールが来たような気分。

病院の特設スペースに隔離され、VIP対応。
いつもの先生が、武装して診察に来た。
いや、診察ではない。
顔を見に来たわけでもなく、
「8月6日まで自宅待機です。しっかり薬飲んでね」と。
「はい!」小学生のように大きな声で返事した。

仕事のアポもキャンセルし、迷惑をかけてしまったが、
コロナだと指名されたら、動きたくても動けない。
いや、動ける感じではなかった。

口の中が苦い。
熱は高くないが、確かに、普通の風邪とは違う。ちょっと辛い。
まる4日間、コロナ姫(婆)は、ひたすら眠り続けた。
夢もたくさん見た。

コロナ姫のところには、王子様は来ない。
しかたなく、一人で起きた朝が、8月6日だった。

少し本を読む気分になったのか、
書棚を開けると、一冊の本が私に飛び込んで来た。
タイトルと、まばゆいばかりの青い空の表紙に惹かれたのだろうか。

ある
晴れた
夏の朝
(著者/小手鞠 るい 発行/偕成社)

ある晴れた夏の朝

自分で購入した本ではない。
おそらく、出版社に献本していただいた本だろう。

児童書? 字が大きい。

これなら、病み上がりの私でも読めそうと、読み始めた。
おもしろくて、いや興奮して、一気に最後まで読んでしまった。

内容は、アメリカのある町の8人の高校生たちが、
広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非をディベートする話だ。

相手を打ちのめすディベートは、あまり好きでないけれど、
この本の中で展開する学生たちのディベートは違った。

ベッドの中の私は、
気づいたら、アメリカのある町のディベート会場にいた。
しっかり、ディベート観衆の一人になっていた。
しかも、一番前の席で…。

なので、この本を読む方はご注意ください。
読み始めたら、片時も本から、
いやディベート会場から離れられません。

そして、偶然にも、
今日は、広島に原子爆弾が落とされた8月6日だった。

まる4日間も寝ていた私に、
ある夏の日の朝、「今日は8月6日だよ」と、この本が教えてくれたのだった。
病院の先生と一緒。

そうだ、今日だった。あわてて式典の様子を、ネットで見た。

恥ずかしながら、
広島市の平和記念公園にある原爆 死没者慰霊碑に、
「安らかに眠って下さい  過ちは 繰返しませぬから」という言葉が
刻まれているということも、この本で知った。

式典に参加した石破首相、
この場で、どんなメッセージを世界に発信するのだろうかと、配信を見た。
8人の学生たちの素晴らしいプレゼンを見た(読んだ)後だったせいか、
心が動かない。
けれど、一つだけ気になる言葉が…。

生前、田中角栄氏が、こう語っていたと。

「戦争を知っている世代がいるうちは心配ない。
だが戦争を知らない世代がいなくなった時がとても危ない」

確かに、その時代がすぐそばに来ている。

けれど、作者が描いた8人のような学生たちが、世界中に存在すれば、
平和は不可能ではない。そんな希望を持てる一冊だった。

ある晴れた夏の朝が、永遠に続きますように。

あ、石破さん、この本、お薦めします!!
平和について、日本の政治家より、アメリカの学生たちがのほうが
しっかり考えてくれています。

この本を献本してくださった、偕成社の担当者様に感謝です。
遅くなりましたが、しっかり読ませていただきました。
ありがとうございまいした。

1件のコメント

藤本さん、コロナ大変でしたね。
自宅待機終了後もなぜだかコロナの後はなかなか本調子に戻らないので、あまり無理しないでくださいね!

広島は私が今行きたい県トップ3に入っています。平和記念資料館にどうしても行きたくて。

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