日もどっぷり暮れてしまったあの日。
保育園から一時帰宅。イヤイヤ期絶好調で、どこのだれよりも泣き声が大きかった娘。
階段の下まで連れて来たものの娘は上がって来てくれない。
当時宿舎2階に住んでいた。両手に抱え切れないほどの荷物。少しだけだからとそのまま置いていった。
慌てて玄関に向かったその時、チャイムが鳴った。
覗くと見知らぬおばさん。
ドアを開けた瞬間、飛び込んできた台詞に耳を疑った。
「いつもいつも子どもを大泣きさせて、虐待してるの知ってるんだから。警察に通報するからね」。
「虐待なんてしていません」。
その後のやり取りの記憶はない。
ただただ悔しくて。
「なんなん、なんなんよ。わたし一生懸命やりよるやん、なのになんでそんなこと言われないけんと?!」
大声は涙声に変わっていて、気付けば母親に電話を掛けていた。
感情が爆発した私に、母親は至って冷静にこう言った。
「都会は周りに無関心な人ばっかりやと思っとったけど、ちゃん見とる人がおってよかったやないね。そこは安心して子育て出来る環境やってことに気付けて良かったやないね」
あーそうか、そーゆーことなんだといい聞かせて、封印した。
一時警戒する日々は続いたが、何事もなく時は過ぎていった。
それでもふとしたときに思い出す。
あの時浴びせられた、どうしても許せない『虐待』という二言。
お母さん失格とレッテルを貼られたようで、他の誰にも言えなかった。
昨日、青柳さんが話してくれた。
『ネガティブなことも書く。自分を脱いでいく。』と。
あー、やっと解放された。