お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

母たちの宇宙への旅が始まる

昨年このコラムに、『どうぶつ会議』(岩波書店刊)のことを書いた。人間社会では国のトップたちが集まってさまざまな国際会議をするが、戦争や貧困は少しもなくならない。呆れた動物たちが結束し、世界中の仲間に呼びかけて、子どもたちのために、最初で最後の「動物会議」を開くというお話だ。

動物といえば、4月号で特集したアーティスト・石村嘉成さんの個展が、横浜赤レンガ倉庫で始まった(5月11日まで)。新居浜市の嘉成さんのアトリエで見た動物たちが、息を吹き返したかのような空間が広がっていて、そこには、母の愛があふれていた。

嘉成さんが描く動物たちと、動物会議の動物たちが、私の中で重なった。世界平和と環境保護を願う動物たちが、動物会議の前に横浜に立ち寄ってくれたのは、お母さんたちに大切なメッセージを届けるためではないだろうか。

2025年2月現在、地球上で絶滅の危機にある野生生物は4万6000種以上。動物たちも必死で種を守ろうとしているのに、私たち人間は、地球環境がどんどん悪くなっていることに無関心でいる。いや、地球環境を壊すことに無意識で加担している。これだけの野生生物が地球から消えるということは、近未来、私たち人間も住めない地球になるかもしれないというのに。

今号の特集、伊藤俊洋さんの「素敵な地球人」という言葉にハッとした。今まで、母である自分を意識したことはあっても、「地球人」と意識したことはなかった。せめて残りの人生は、素敵な地球人として生きていこう。

美しい自然を、いきものたちの命を感じて、わが子と一緒に大地をしっかり歩く。そうすれば、今悩んでいることも、自ずと解決してゆくに違いない。

さて、今年33回目の乾杯テーマは「宇宙」。数秘術によると、数字の中で最も高次元におかれている「33」という数字は、宇宙に最も近い存在らしい。

もう一つ。サザンオールスターズが3月にリリースした曲が『夢の宇宙旅行』。桑田佳祐さんの歌詞にこうある。「♪果てなき宇宙への旅は/ママの叫ぶ声と消えた/
目の前の大谷翔平のサイン♬」。

先の動物の話もそうだが、引力の為せる技か。宇宙的な引き寄せ力を感じずにいられない。伊藤俊洋さんも、話の中で大谷選手にふれていた。こういうのを「セレンディピティ」というのだろうか。いや、いわせてほしい。
母たちの宇宙への旅は、地球の未来につながっているのだから。

(藤本裕子)