お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

わが子の近くで父になる

お父さんと子どもの笑顔が「お母さん業界新聞」の表紙を飾ったのは、今年1月のことだった。本紙創刊以来、はじめての試みだ。

不思議だが、たった一人のお父さんの登場だけでかつてない、新鮮で爽やかな風が吹いたような紙面になった。撮影したカメラマン、ブルース・オズボーン氏の功績も大きい。

タイトルが気になって購入したものの、本棚に眠らせていた一冊『父親が子どもとがっつり遊べる時期はそう何年もない。』(布施太朗著/三輪舎)を、久々にめくってみた。そこには、日々の暮らしから、父(人間)として大切なものを学んでいくお父さんの姿があった。

著者、布施太朗氏が実践する「オトン」企画の諸々は、実にお母さん大学の理念と近いものがある。

企業の理念構築ほか、商品のコンセプトデザインや広告制作を手がけ、ブランディングディレクターを業とする布施氏。かつてはハウスメーカーやデベロッパーがクライアントだったそうで、住宅について考えた結果、行き着いたのが「家族との時間を大切に」というコンセプトだった。

だが自分は、果たして家族との時間を大切にしているのか?と疑問を持つ。当時は仕事が忙しく、家に帰るのは決まって子どもが寝静まったあと。たまの休日、子どもと公園で遊んでも、スマホ片手に心は上の空だったと振り返る。

毎日子どもが何を見て、何をしているのかなど何も知らない。知らないこと自体、それまで意識したことがなかったことに気づき、なんとも言えない気持ちになった著者。書名の台詞をツイッターでつぶやいたところ、たくさんの反響があったという。

以来、子どもと遊んだこと、会話や体験したことをそのまま書き綴った。

そうして誕生したのが「oton+to」というサイト。「オトン=お父さん+と(一緒に)」の意味らしい。いまどきのイクメンとは違う、新たなお父さん業界の幕明けを感じるような発信だ。

父親が子どもとがっつり遊べる時期は…、おそらく年中~小学生くらいのイメージだ。ならば、布施氏流に言えば、「母親が子どもとがっつり、いやべったり遊べる時期」は3歳くらいまで。かけがえのないその時期を、無駄にしたらもったいない。

女性も働く社会になった。だが人は、何のために働くのか。お母さん業界と等しくお父さん業界も、半径3メートルの世界に、未来はあるのかもしれない。
(藤本裕子)

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