お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

軽やかに確実に〜支援を始めた隣国のお母さん〜

2月24日。ルーマニアではその日、国特有のバレンタインデーでパトリチア・クドウさんはハート柄の服を着てその日を楽しむつもりでいた。

そこにロシア軍のウクライナ侵攻のニュース。ウクライナの隣国ルーマニアのクルジュに住むパトリチアさんにも激震が走った。
朝、16歳と14歳の子どもたちのお弁当を作りながらも動向を見守り、不安に駆られた。

どうやら、成人男性は国に残るように言われ、ウクライナから女性や子ども、高齢者が歩いて渡ってきているそうだ。
クルジュからウクライナの国境まで200Km。高速道路がない道を車移動で3、4時間かかる。

さっそく、友達と情報を収集しあい、ウクライナ人親子への援助活動を始めた。近くのショッピングモールに集まり、お水やミルク、服、おもちゃ、トイレットペーパーなどの生活必需品を自家用車に乗せて、届けている。

突然の戦時下。ウクライナの人々は不安や苛立ち、動揺を抱えながらも、長い列を作って国境を渡ってきた。まだ寒いなか、なかには8ヶ月の妊婦さんもいる。

国境付近には、支援の大型バス。そこでパトリチアさんの友達が目にしたのは、ある親子。2歳の娘の靴には、出生情報が書いてあった。万が一、はぐれてしまった時のためのお母さんの咄嗟の判断だ。

「本当に悲しくなる。涙が出る。だけどできることをする。妹がアパートの数部屋を持っていて、そこにウクライナのお母さん5人とその子どもたちが泊まることになったの。
政府として公式に動きづらい状況だから、みんな個人個人で動いている。
NGOの代表が集まって市長とミーティングして、支援状況をまとめたり。

でも今日は日曜日で11時まで救援物資のまとめをしていたから、もうここでストップ。
助けることも大切だし、自分の日常も大切。ニュースを観すぎると不安に煽られちゃう。
仲間にも、ニュースは5分にして、あとは子どもとディズニーチャンネル見て!って言ってるの。これから午後には、友達の誕生日会。あえて、こういう時間も大切にしてリフレッシュしなきゃ」

3年前に教育や文化の普及活動のためのNGOを立ち上げた。
ビデオ電話口でも、深刻な表情を時折見せつつ笑顔で語ってくれる彼女の姿が印象的だ。

「こういう時、自分のメンタルが本当に大切だと思う。いかに自分を守って整えていくか。救援物資がたくさん集まっても、それを運ぶ体と心がないと届かないもの」

新婚時代、アラブ首長国連邦在住時に仲良くしてくれたパトリチアさん。
彼女が活動を始めたのをSNSで知り、数年ぶりにコンタクトを取ってみると、
「日本の人たちに伝えて。ありがとうございます」と、すぐに応えてくれた。

「政治の世界は白黒はっきりできる問題じゃない。だけど、ママたちが世界のリーダーだったらこんな戦争にはならないのになって思っちゃう。だって、みんな誰かの子だもの」

微笑みながら話す彼女の目には力があった。

「一日も早く戦争が終わること。人の命が救われること。それだけを思ってできることをしていく。恵さん、また話しましょう!」そう言って、電話を切った。

これは隣のお母さんからお母さん、そして子どもたちへの命を、暮らしをつなぐバトン。
それを笑顔でパワーを結集しているのがすごい。なんだか勇気をもらい、生き方を教えてもらった。

まずは笑顔を心がけ、自分と家族との暮らしを大切に。そのうえで、できることは何だろう。事態は深刻だけど、パトリチアさんたちの迅速な行動に敬意を表しつつ、自分で考え、祈り、小さな一歩を、とキッチンで食器を洗いながら思いを進めている。

子どもたちに世界は広くて、素敵な出会いもたくさんあるんだよって胸を張って言いたいから。

ウクライナの家族がまた集って暮らせる日が一刻も早く来ますように。切に願っている。

14件のコメント

恵さん、素敵なお友達!!

こうして生の声を届けてくれること、本当に感謝です。

戦争で離ればなれになった上に、住むところもこれからのこともわからない中、
子どもたちと歩いて、住み慣れた土地を離れなければいけない
ウクライナのお母さんたちは想像を超える緊張感や不安の中にいるかと思います。

パトリシアさんの力強い笑顔に、大きな希望、力を感じました。

日本にいる私たちは何ができるのだろう。
この記事をたくさんの方に読んでもらうこと、そして祈ることかな。

今はこのくらいしか思いつかないけれど、他にあったら教えてほしいなぁ。

彩さん、真っ先に読んでくださり、ありがとうございます!
正直、お母さん大学にこういう記事書いて大丈夫かなって
一瞬思ったりしながらも、メモとペンを持ちました。
感謝してもらえるとは思ってもなかったけど、つなぐ役ができたようでよかった。

本当に。素敵な友人ですよね!改めて、出会えたこと、そして伝えてくれたことに感謝の
気持ちです。

子どもが小さい子育て中、日常をまわすのが精一杯なのも現状。でもそれが自然で
こういう事態になっても、それ以上何かしようと力を出さなくてもいいのかもしれません。
この記事を書いていて、それだけは違う風に伝わってほしくないなって思いました。

ただ、同じような立場だからこそ、思いを寄せることはできるし、一人でできなくても
誰かと一緒に考えて、小さな一歩になることはあるかもしれません。
わたしも彩さんと一緒に考えていきたいです^^

山崎さーん。
とてもリアルに感じられる内容を、記事にあげて共有してくださりありがとうございます。
毎日ニュースにハラハラ…ただ不安が増すだけで…
こうやってお母さん目線の記事を読むと、気持ちが冷静になりました。
私たちにできるのは、まずは家族が笑顔に過ごせるよう、生活を整えること。
平和な場所で、無邪気に笑ってていいのかな?と罪悪感なものを、ここ数日感じていましたが、それでいいんだ!と思えました。
いざ何かしたいと、やれることができたときに、心と身体が動くように、私自身も整えることを忘れずにいます。
平和な世界になるよう祈ります。

脇門さーん。
昨晩も実はパトリシアさんとビデオ電話ができたので、脇門さんのコメントを彼女に
お伝えしました^^「そうそう!その通り」って言ってましたよ♡

映像のニュースって視覚、聴覚で刺激になって不安になりますよね。
もちろん一番不安なのは当事者の人たちだけど。
脇門さんの気持ちが冷静になったと伝えてくれて、ありがとうございます(^^)

わたしも家族時間を大切にしながら自分を整えて、祈りたいと思います。

山崎さん、記事ありがとうございます。
こういう「普通の人たち」の様子が、報道からはなかなか伝わってこないので、
とても貴重な記事だと思います。

「ママたちがリーダーだったら」の言葉、
本当にそうだと思います。
命を生み出したお母さんたちは、命を粗末にするような選択はしない。

パトリシアさんの言葉と行動が、すべて心に刺さります。

本当にいい記事をありがとう。

天野さん、ありがとうございます。
そうなんです。政府が、軍が、思惑が・・・ってところにフォーカスされていたり、
情報戦って呼ばれるように情報が錯綜しているところがあったりしますよね。

あーでもない、こーでもないと言葉選びをして、若干頭痛を起こしながらも^^;
パトリシアさんから受けとった言葉を伝えたい気持ちで書きました。
伝わってよかったです!

わたしも「ママたちがリーダーだったら」のところに深く頷いて、メモを取って
いました。

こちらこそ、読んでくれてありがとうございます。

夜、長男と「戦争はいやだよね。」と話していたところです。
ニュースみてると、お母さんや子どもたちが今どんな状況でいるのか、どんな気持ちでいるのかと心が苦しくなります。
貴重なお話ありがとうございます!

冨本さん、ありがとうございます。
「戦争はいやだよね」
この一言に尽きますよね。

わたしも、もし自分と子どもたちがこの状況だったら・・・と考えてしまいました。
日本にもほかの国々にも大変な状況はあるけども、これは・・・。
本当に何気ない日常の一つひとつが実は幸せの連続なんだと気づかされました。

読んでくれてありがとうございます。

連日テレビで見るロシアによるウクライナ侵攻のニュース、なぜ?ひとりの人間を止まらないのかと、大勢の人達がその渦中で幸せな日常が奪われているというのに!そう思っています。そんな中、リアルな異国のお母さんの発信を、お母さん大学生の山﨑さんを通じて知ることができました。私はSNSはやらないし、見ないのですが、現地からの投稿や動画など断片情報は溢れているようです。でも、正しい情報なのかどうかは自らの判断になります。このように発信してもらえ、知ることができて、本当によかったです、山﨑さん、ありがとうございました。ルーマニアのパトリシアさんに、日本のお母さん達もあなたの活動や発信に感銘を受けていること、私たちも同じ気持ちであり、味方であること、何かできることはないか、伝えてほしいです。そしてありがとうと。

田端さん、ありがとうございます。
パトリシアさんに伝えます!昨晩、彼女にも記事を読んでもらいました(日本語ができます)。
自分にできることをしているだけって言っていましたが、本当に学ぶことばかりです。
読んでくれてありがとうございました。

戦時下という言葉に、やっぱりこれは戦争なんだなと改めて思いました。
突然、「侵攻」とニュースであって、まだ戦争までいってないかのようなニュアンスがあったけど、戦争なんですよね。

そんな中でも、普段の普通の暮らしがあるんですよね。
地下で赤ちゃんを産むとか、そんな状況があるということに驚きです。そもそも。地下室を作ってるというのは、そういうことがある危険性を予知してのことか。

この2年でメディアの情報は発信する側に意図があればゆがむという事も感じて来たし、ニュースをまともに見てるとおかしくなりそうですが、一お母さんからの発信は、そこには生活があることを伝えてくれますね。

ニュースは5分にして、ふだんの生活の時間を大事にしてリフレッシュというのもよぉく分かります。
こんな時期だからこそ、自分のメンタルを保つのも大事ですね。

戸崎さん、ありがとうございます。
メディアがどんな風にニュースを伝えてくるのか、感じるところが多くありますよね。
「そう切りとってきたかぁ」って思ったり。。

そうですね!明日のひな祭りを楽しんだり、自分を満たして気分転換したり、そういうことも
大切にしていきたいですね。

戦争は歴史を見ると繰り返されているのですが、一つだけ言えるのが決して女性が仕掛けることは
ないという事実。
女子どもとひとくくりにされながら長いこと人間扱いはされていません。

イラク戦争をテレビで見た衝撃も忘れられませんが、今はフェイク合戦での戦いになっていますね。
軍需産業という言葉があるように、戦争は仕組まれてもいるということだから一人ひとりがまずは
生き延びていくために協力しあいながら、私たち女どもは惑わされることのないことに焦点を当てて
生きましょう~

コメントありがとうございます。
パトリシアさんから聞いた内容も視点や角度を変えれば難しいなぁ、
本当に白黒はっきりの世界じゃないんだなって感じていました。
人を見れば、お互いにロシア人もウクライナ人もみんないがみ合ってばかり
いるわけじゃないし、親戚がお互いにいたりしますよね。

彼女も「自分で情報を選んで、自分で考えること。自分が誰かの武器
にはならないように」って言っていました。胸に刺さりました。

ありがとうございます。深呼吸して、協力し合いながら生きたいです。

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ABOUT US
山﨑恵
肝っ玉母ちゃんに憧れる繊細母ちゃん。アメリカで子育てをスタートさせるも、第二子出産後に産後うつになる。あの頃の自分にも、いま同じ思いをしている お母さんにも言ってあげたい。「いろいろあるけど、それでも大丈夫だよ」って。数年前、夫の実家の横須賀にあるカフェでお母さん業界新聞を手にとる。 配ってくれた人がいて、ここにたどり着いたご縁に感謝! このままの「お母さんであるわたし」でペンを持ち、人と社会とつながりたい。いまは地元埼玉県川口市で子育て・自分育ての根っこを下ろし中。 最近はまっているお灸でぽかぽかするのが至福の時。子ども/小4男、小1女