一瞬で子供にも母にもなる

1ヶ月前、

私の母の鎖骨部分にしこりが見つかった。

原因不明。

大きな病院を紹介してもらい、精密検査の段階。

「嫌な予感がする、まだ死ねないよ」と母は、笑って報告してきた。

こんな日がこんなにも早く来るなんて…気のせいであってほしい。

ただただ、大きな病気でないことを祈るしかない。

祈ること以外、私にできることは何もない。

唯一、毎日連絡を欠かさないよう、やり取りをしている。

そんな中、我が家の三兄弟が先週から体調不良。

順番に発熱し、看病がつづく。

コロナでなかったのは救いだが、中々良くならない。

特にいつも元気な次女が長引いている。

仕事の休みの連絡をするたびに、大きなため息をつき‥夫ともどちらが仕事を調整するか、子供達の前で揉めてしまった。

心身ともに疲れてきた。

そんな日々を、母に愚痴るように報告すると…

「お前も毎日看病で大変なのは分かるよ。仕事の休みが辛いのも焦る気持ちも分かるけど、大事なのははーちゃん（次女）。お母さんが心から寄り添って心配してあげないと中々良くならないよ」

と返信がきた。

私の弱さもズルさも全てお見通し…痛いところをついてくる。

「分かってる」

とだけ、返信。涙がこぼれた。

体調の悪い我が子に寄り添えていなかった自分を恥じる。

…やっぱり母には敵わない。

と思うと同時に、こんな母に育てられた自分は幸せだと実感する。

まだまだ母には元気でいてほしい。

話を聞いてほしい。

こうやってたまには叱ってほしい。

母の病気のことを思うと胸が張り裂けそうになって、一瞬で子供の私になる。

だけど、今は三人の子どもたちのお母さんでもある。

まずは目の前の我が子をしっかり抱きしめよう。

母を支える前に、やるべきことは目の前にある。

アイキャッチ写真は、次女はーちゃん。

病院帰りの薬局の前においてあるサトチャンの遊具。

これまでやりたい！と愚図られても、一度やらせたらキリがないとやらせてこなかった。

「やってみる？」とわたしから声をかけ、50円玉を入れてあげた。

1分程音楽とともに前後に揺れるだけ。

一年生になる次女は、周りの視線を気にしてはにかんだ。

終わると、「何でやらせてくれたの？ありがとう」と笑顔の次女。

「ねぇねとげんには内緒ね」と答えた。

仕事を気にして、心から看病できていなかったよごめんね…

と、50円玉で懺悔する母を許してね。