お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

宇宙の記憶と、あなたの鼓動

夜空を見上げる時、私たちは遠い昔を見ています。

その星の光が放たれたのは、何十年、何百年も前。さらに私たちの銀河のその向こう何億光年にも広がって星が無数に輝いています。その光を望遠鏡で覗く時、何億年も前の物語を目にしていることになります。

そして、その星々の内部では、私たちの身体をつくる材料、たとえば酸素や炭素、カルシウムや鉄が生まれていました。

星が一生を終える時、それらの元素は宇宙に放たれます。その絶え間ない繰り返しののちに宇宙はやがて地球をつくり、生命を育てました。

科学者としてこの事実に触れるたびに、私は静かな感動を覚えます。

あなたが抱く子どもの小さな心臓の鼓動も、柔らかな頬の感触も、星々の進化の延長線上にある──そう思うと、母と子の時間が、宇宙の歴史とやさしく重なって見えるのです。

夜、子どもが眠りについたあと、もし少しだけ空を見上げる余裕があったら、思い出してみてください。あなたの中にも、宇宙の記憶が流れています。

私は、その事実の美しさを共有したいと願っています。

星が命の元を生み出し、命が次の命を育てる。その連なりの中で、家族の営みもまたこの宇宙の長い物語の一節として、静かに続いているということを。

星のコンシェルジュ・物理学者
南阿蘇ルナ天文台
長井知幸

お母さん業界新聞12月号 母たちへの一文