【卒母・特集③】子どもたちと過ごした宝物のような時間

子どもたちのために手間と時間を使おうと決めていた。「小学生の間は借金してでも子どもと遊べ!」という言葉が身に染みたのは、子どもが中学生になってから。

息子12歳、娘10歳までの期間はわが家の宝物。あの頃の思い出があるからさまざまな困難を笑って乗り越えていけるのだと思う。

子どもの友人たちの間で私たち夫婦は有名。どんな行事にもやってくる、困ったときにはかけつける、部活に冷えたスイカを運んだこともある(笑)。

たくさんの笑顔の中にいるわが子を見るのが幸せだから、友人たちもかわいくて。

「子どもは3歳までに一生分の親孝行をしてくれる」そんな言葉を信じて、見返りを期待せずにきた。

ただ笑って一緒にごはんが食べられればいい。死ぬまでお母さん。この世に送り出した責任はあるがそれは母の心の中だけで十分、子どもの人生に覆いかぶさりたくはない。

親が子どもを想うのは当然で、親以外の方にお世話になっていることに感謝したい。

卒母はいつと決めるのではなく自然と迎えるものだろう。

今年の春、息子は社会人となって独立し、あっさり卒母してしまった。自宅にいれば洗濯も掃除も料理もしてあげられるのにともどかしいが、そんな寂しさも23年手元に置けたからこそ。

卒母とは、しっかり守っていたつもりが横に並び、のちに追い越される感覚か。

だとすれば、子どもたちの後ろ姿を見ることを楽しみにし、たまに振り向いてくれたらニマニマしようか。

(宇賀佐智子)

(お母さん業界新聞1712/特集 卒母)