お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

しずかな会話

幸一に会ってきました。

胃ろうの手術が終わったところなので
腕には点滴の太い針。
お腹には腹帯といって綿のさらしが何重にも
巻かれていて痛々しい。

じっとわたしの目を見る幸一。
「手術、頑張ったなぁ」
と言うと、パチリとまばたき。
イエスのサイン。

「お腹、痛ないかぁ」
眉間に皺を寄せる。
「痛いんやぁ。看護師さんに言うなぁ」
パチリ。

「鼻の管、取れて良かったなぁ」
パチリ。

「幸一、頑張ってるなぁ。えらいなぁ」
顔をしかめる。
「頑張ってないんかぁ。しんどいなぁ」
顔をしかめる。
「しんどいなぁ」
パチリ。

「もうしばらくしたら、家に帰れるからな」
じっと目を見る。
「早く帰りたいなぁ」
目を見る。
「帰ったら散歩に行こな」
目を見る。
「電車も乗ろな」
目を見る。
しばらくしてパチリ。

退院まであとひと月ほどかかるらしい。
長いなぁ。