お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

防災に必要な、心を守る準備

海上自衛隊に入隊後、航空関係の国家資格を取得し、海上自衛隊の航空管制官として勤務。その後、女性初の所長として勤務する傍ら、働き方改革や女性活躍推進の取り組みにも従事。早期退職後の現在は、合同会社を設立。キャリアを生かした講演やコンサルティングの仕事をしています。

家族を守る力は、毎日の小さな備えから生まれます。経験から強く感じるのは、「心を守る備え」の大切さです。

真夏の訓練中に、突然の断水に見舞われたことがあります。訓練は続行され、衣類は風呂の残り湯で限られた水を使って洗いました。すすぎも十分ではなく、きれいにはなりません。

その中で一番こたえたのは「匂い」でした。真夏は数時間で悪臭に変わります。汚れ物や自分の体の匂いが、人が集まるほどに耐えがたくなり、その不快感は体力より先に心を削り、イライラや落ち込みにつながってしまいます。

災害時も状況は似ています。水や食料の備蓄はもちろんですが、着替えや洗浄グッズ、消臭対策といった「心を保つための備え」も欠かせません。お気に入りの柔軟剤を小瓶に入れておく、好みの香りのアロマを用意しておく。そんな小さな工夫が、非常時の心を支える力になります。

防災とは、「心を守る準備」でもあります。お母さんの「大丈夫よ」という笑顔が、ご家族にとって何よりの安心になると私は思います。

元海上自 衛 隊 女性幹 部
合同会社JPROUDIA 代表
青海温子

お母さん業界新聞9月号 母たちへの一文