お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

あの頃がいちばん

帰省していた長男、ほとんど家に居なかったけど、お墓参りに行けた。

そして、こんな話もできた。

「家を出て親の有りがたみがわかった」。

帰省した長男がポツリと言ったもんだから驚いた。

「やっとわかったか、上げ膳据え膳で楽してたこと!」。

「そうじゃない」。

「えっ、じゃあ、どんなこと?」

「働きながら子育てやってきたとこ

自分の時間も取れなくて、すごいことだと思う」。

そう言った長男に

私はこう返した。

「ママは今がいちばん楽しい」。

それを聞いた長男は

「二十代のときどんだけ頑張ったかで人生決まるから」。

そう言った。

お腹を空かせて待っている子どももいない今

仕事終わりにジムに行くことも

ふらっと角打ちにいくことも

ひとり旅に出ることも

自分のやりたいことを我慢しないで、ほとんどやれようになった

でも、子育てとは

自分の時間もなく子どもの習い事の予定に振り回されること。

自分の欲しいものを我慢して子どもの物だと糸目もつけずに買うこと。

自分のおかずを減らしても子どもに多く分け与えること。

それが当たり前だった。

それが母としての喜びだった。

今となれば、いちばん楽しい時だったよ。

布団を敷き詰め、家族みんなでひっつきもっつき眠った夜も。

狭い宿舎でみんなの顔が嫌でも見られたあの頃が、いちばん幸せで、楽しかったよ。

今は長男にそう伝えてあげられなかったこと、後悔している。