お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

生前100周年の祝いに参加した話

突然ですが、娘と二人、金沢へ。

せっかく金沢まで来たのだから、美味しいお寿司が食べたい。
でも、何も調べてないし、駅ビルの中にある回転寿し(も美味しいのだろうけれども)では味気ない。
ということで、トボトボ歩きながら、Google先生に聞きながら、「ここは高級と書いてあるからヤバイ」とか、「ここは食べログがよくない」、とか隣にうるさい人がおりましたので、最終的に、直感で、もうここ!と言って入ったお寿司屋さん。

大将が「今、冷房つけるよ!」と言ったのを聞いて、「あ、確かに暑いかも…」と思ったが、そのままカウンターに座った。
注文した生ビールと一緒におもむろに出てきたのは、DVD再生プレーヤー。
33年前のテレビ番組が流れて、生きたままのサワガニをお寿司に握る男性。どうやらこの人が、若き日の大将らしい。
(画面は撮影しませんでしたが、桂文珍さんと山田邦子さんが司会の「スター爆笑Q&A」という番組でした。)

「生きたままのサワガニ寿しがあるんですか!?」と聞くと、
「昔は出せたんだけど、今は衛生面でうるさくてね。だからこれ」と出されたのがこの攻撃的なカニ(の唐揚げ)。

DVDはサワガニのエピソードとして、強制的に見せられるものらしい。

おじさん(大将だけど、おじさんの方がなんかしっくりくる)は、黙って次々と、握りを出してくれました。
私は普段、お寿司はだいたい決まったネタ、娘はそれに拍車をかけてほぼ同じネタしか食べない。
だから、苦手なものがあったらどうしよう…と思ったのですが、
出されたお寿司は口いっぱいに甘さが広がり、新鮮さを感じるネタばかり。
一個一個に感動して、とにかく美味しかった。
写真に撮るなんて邪道と思ったけど、お寿司ちゃんが愛おしくなり、(娘に)撮影(を要求)。

最後に余ったわさびをわさび巻きにしてくれて、それもとても美味しかった。

おじさん、話を聞いて計算したところ御年80歳。働き方改革に抵抗して年中無休なんだよ、と笑う。
金沢の街への訪問者のためだそう。
神奈川から来たと告げると、これも何かの縁だから、といろいろ教えてくれた。
実は令和3年から生前100周年(創業73年)のイベントをお店で開催しているとのことでした。

寿し寅は1948年創業。2代目の當摩正二さんは、元気なうちに生前100周年を祝おうと、5年間のイベントを計画、これをもって人生の集大成としたいとのことで、私たちは運良く2年目のお祝いに訪れることができたということに!
ところが、安心してください、ワクチンを打った際に、医師からあと7年生きられる、と言われたそうで、2年間延ばす予定とか。(休む気なさそうですね)

新幹線が金沢に来てから、すっかり町は変わったよと。
焼肉屋とか、居酒屋が増えたよ、と教えてくれました。
「昔ながらの店は畳むところも増えたから、できるだけ長くやりたいけれど、
でも、100周年の祝いをして、常連さんにもご挨拶ができたら、一旦休んでおくさんと一緒に旅行でもするんだよ。
そうして、少し休んで、また店をやりたかったらやるし、もう嫌になったらやめるんだ。それでいい」。
と話していました。
奥さんは、カウンターの奥で、お茶を入れたり、ずっとニコニコして、仕事をしていました。
ずっとずっとこの店を一緒に支えてきているのだろうなと、思いました。

いつも、知らない人と話したり、余計なことを話しかける私がうざいと思っているであろう娘。
でも、おじさんのすごい歴史に圧倒されたのか、黙ってじっと聞いていました。
こんな偶然の会話が面白いんだよね。

話ができてうれしいから、と常連さんに渡しているというたくさんの資料もいただきました。
この金沢での寿し寅の歴史と、思いがぎっしり詰まっていて、
ああ、インターネットには載っていない情報のなんと重いことよ。
人の話を聞くことのできる時間は本当に素晴らしい感動の時間だと思ったのでした。
私の宝物にします。

ちなみにこの資料、1981年(昭和56年)1月の写真だそうです。
「五六豪雪」で店の前が雪に埋もれた時のもの。
実はちょうど娘と店に入る前に金沢の冬について話をしていて、最近は雪もあまり降らないらしいよ、30センチくらいらしいよ、と言っていたので、これもまた貴重なものだと感じるのでした。

今回は留守番をしていたサーモンが大好きな息子を連れて、あと5年のうちにもう一度伺いたいと思います。

金沢駅東口からすぐです。
ミシュランガイドに掲載されない
廻らないすし屋
寿し寅 本店
〒920-0853 石川県金沢市本町2丁目19番8号
(076-231-3735)

3件のコメント

お寿司とっても美味しそうです~
旅行先で直感で入ったお店があたりだと嬉しいですよね!
しかも今回は貴重なお話までたくさん聞けてて旅の醍醐味を感じます~。
お子さんお母さんの取材力の高さにも圧倒されてると思います。

真帆さんありがとうございます!
美味しかった!本当に!
本音はウニが嫌いなのですが、全くの別物でした、トロけました^_^
取材力、というより、おそらく図々しさに呆れてくれていたことと思います笑

美味しそうなお寿司ですねー!
回らないお寿司、食べたい食べたいー!!金沢行きたい行きたい!!!
そして、旅先での素敵な出会いは、嬉しいですね。また旅に出たくなる。
きっと、おじさんもそんなに興味を持って聞いてもらって嬉しかったと思います。
娘さんも、母やおじさんの会話を聞いて、旅の出会いっていいなと母とまた旅をするのもいいなと思ったと思います笑。そんな写真に見えました!

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ABOUT US
植地宏美
お母さん大学横浜支局。 お母さん業界新聞横浜版編集長(2019.10〜2021.12)。 長女21歳、長男17歳、次男15歳。 お母さん大学をものすごく、楽しんでいます。 結果、 お母さんをものすごく、楽しんでいます。