お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

一緒に世界平和を 実現する仲間として

体全体を打楽器(パーカッション)にして、リズムを奏でる音楽を知っていますか?
楽器がなくても、音符が読めなくても、歌が上手に歌えなくても、誰もが音を楽しむことができる。それが、「ボディパーカッション」だ。

小学校の教員をしていた頃、受け持ちのクラスにキレる男の子がいた。そのA君をなんとか笑顔にしたい、クラスの一員として所属感や仲間意識が持てるいい方法はないかと模索し、考案したのがボディパーカッションを取り入れた「山ちゃんの楽しいリズムスクール」だった。

一日10分程度のリズム遊びをしたところ、A君が落ち着き始めクラスにまとまりが見えるようになり、授業参観後に保護者に披露したところ、大変驚かれ評判となった。

「耳の不自由な子どもたちは音楽を楽しめないのか?」と疑問を持ち、聾学校の校長先生にお願いして、出張授業を行った。

ボディパーカッションなら自分の体を叩くのだから、打つ強さも体で感じることができるし、相手の動きを見ながらリズムを合わせて合奏ができ、音楽を感じ、楽しめるのではないかと思ったからだ。

2001年、2004年、2006年と3回、日本を代表するオーケストラNHK交響楽団と耳の聞こえない子どもたちが共演し、大きな感動を呼んだ。

また日本だけではなく、音楽教育がないカンボジアに教育研修と公開授業研修に出かけた。2017年、ウィーン国立歌劇場、2019年、ニューヨーク・カーネギーホールで作品を発表すると、観客のスタンディングオベーションが起こった。

夢は、世界中がボディパーカッション教育で繋がり、言葉の壁や文化、年齢や性別の違い、障がいの有無を超えて仲間になり、世界が平和になることだ。
今、お母さん大学福岡支局の有志のお母さんたちに向け、認定指導者としての講義を、月に1回行っている。

「鋼のメンタルをいかに持つかが大事だ」と話し、お母さん大学の活動紹介もあわせて地域のコミュニティセンターへ、慰問にも一緒に行った。技術は大事だが、すべての子どもたちに笑顔になってほしいという、誠実な願いが何より大事。

同じ夢を持ち、活動するお母さん大学は、世界平和を一緒に実現できる仲間だと思っている。失敗を恐れずチャレンジし、人生を楽しんでいる母たちの背中を、子どもたちはしっかり見ているはずだ。
(文・池田彩)