ぷくぷく助産院(横須賀市坂本町)鈴木院長と▲
1人目の出産後、入院中に「またここで産むんだろうな」という思いがふと心に浮かんできた。その予感通り、2人目の妊娠がわかった時、迷わずぷくぷく助産院の院長、鈴木佳世さんに連絡。お産は、大事なわが子との、一生に一度の経験。そして今回は、「自分の手で取り上げる」ことをしたかった。
その日、台風接近の影響か、早朝に陣痛がきた。直感的に「今日生まれる!」と思い、助産院へ。ゆっくりゆっくり陣痛は強くなる。夫と長男は一緒に昼食をとり、一旦帰宅。私だけが残った。静かな和室でうとうとしている最中も、着実に陣痛は強くなる。赤ちゃんも命がけ。外の世界に出ようと下りてきているのがわかる。助産師さんの「この痛みがあるから生まれてくるのよね」という言葉に励まされながら、腰を押す手が神の手のように感じ、陣痛の波に乗っていけた。
「本能のままに。野生に還る」という言葉がしっくりきた。周りを気にせず叫んでいた。私にとって必要な経験だったのだろう。夫と長男が来る前に子宮口全開となり陣痛の波は加速。途中で、2人は間に合わないと腹をくくった。佳世さんの「女だけで産みますか!」という言葉に「お産って本来、そういうもんだよなあ」と、陣痛の合間にも冷静に考える自分がいた。
四つん這いの姿勢から、頭が出てそこに触れた。「もう出てくるよ」という言葉を聞いて、私の右手は赤ちゃんの左肩に触れた。それは、ふにゃふにゃふやけていて、今にもこわれそうな柔らかさと同時に、ここまで育ったのだという固さもある。命の温かさをしっかりと感じることができた。この世で一番幸せな感触。そこからなんとか上半身を起こしてもらい、産み落とされる赤ちゃんを、文字通り取り上げた。
「かわいい! やっと会えたね!」この出産で「私が産んだ!」という母としての自負を育ててもらった。「あ〜また、ここで産むんだろうなぁ」と、幸せな感覚に浸りながら、愛おしいわが子を見つめた。
お母さん業界新聞11月号 お産処
































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