明治生まれの祖母に育てられた私が、今祖母になって思うこと。
「年寄りっ子は三文安いと言われないように」と、祖母はよく言っていました。
病弱だった母に代わり、祖父母に育てられた私です。厳しいしつけに、時に息苦しさを感じましたが、それ以上に多くの体験をさせてもらいました。その背後にあった深い愛情は、年を重ねた今だからこそ理解できます。
小学3年生のある日、「これからは洋食の時代」と、ワンピースを着せられテーブルマナー教室へ。フォークの背にごはんをのせる食べ方を、子どもながらに「なんて面倒なんだろう」と思ったものです。
祖父母は入らず、外で待っていてくれました。その費用は決して安くはなかったはずです。私に新しい世界を見せたくて、惜しみなく背中を押してくれたのでしょう。
あれから半世紀。私は、5人の孫に恵まれ、「おばあちゃんは一番厳しいけれど、いろんなことを教えてくれる」という孫の言葉に、ふと祖母の姿が重なります。
洋食が当たり前になった一方で、和食のマナーが見直される時代です。食を通して文化を伝えることの大切さを、改めて感じています。箸の持ち方一つにも祖父母だからこそ伝えられる生活の知恵があります。
三文安どころか、祖父母の愛情や教えは人生の土台になる何よりの宝物。時代が変わっても、受け継ぎ、伝える心は、決して古びることはないと思います。

NPO法人 みんなのお箸プロジェクト https://minnano084.com/
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