お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

身土不二の心でつなぐ未来

私たちの身体と大地は、本来切り離せない一体の存在です。けれど現代では、農業と医療、人と自然、動物と人間など、あらゆるものを分けて考えてしまいがちです。でも実は、すべてが一つの循環の輪の中にあります。

私は今、トラクターも資材も農薬も使わず、自然の力を活かす農法に挑戦しています。静かに息づく土の呼吸、有機物に集う微生物たちの営み。彼らが自然に土を耕し、命を育む姿は、人の腸内で働く微生物たちとよく似ています。

『土が変わるとお腹も変わる』(吉田太郎著)は、土と腸内環境のつながりを教えてくれました。目に見えない微生物ネットワークのバランスが崩れると、作物は病気になり、人の身体も不調に。土が荒れれば、心も免疫も弱ってしまいます。

現代農業は、短期的な効率を追い求めるあまり、命の循環を断ち切ってしまいました。その結果、土は痩せ、作物は力を失い、気候変動にも拍車がかかっています。今、求められているのは、自然や地域社会をもう一度つなぎ直す「再生農業」です。

大切なのは、「もったいない」という日本人の感覚。落ち葉も虫も菌も、すべて命の輪の一部です。畑で「土ってあったかいね」と笑う子どもの声に、土が育むのは作物だけではないと気づかされます。

農業とは、生命のつながりを耕すこと。私たちの内なる土――腸を育てることでもあります。微生物の力を信じ、人としての謙虚さを取り戻す時、土も身体も地域も未来も、ゆっくりと、力強く息を吹き返すのだと思います。

内閣官房デジタル行財政改革
会議事務局 内閣参事官
坂内啓二

お母さん業界新聞7月号「母たちへの一文」掲載

 

 

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