7月30日、33回目の乾杯を迎えた。
いや、7月16日にこれを書いているので、正確には、まもなく迎える、だ。
特集「宇宙乾杯アート企画」で写真を送ってくださった皆様、ご協力ありがとうございました。
おかげさまで、2025年・夏「お母さんが夢に乾杯する日」の、よい記念になりました。
1991年、一人のお母さんの夢から、乾杯の歴史が始まった。
がんばっている自分に、そして夢に乾杯!
かつて、横浜のあちこちで派手な乾杯イベントを繰り広げた時代もあった。
とにかく「お母さんは、スゴイ!」を伝えなければと、見栄を張り、がんばっている自分がいた。
けれども時を重ねる中で、これまでとは少し異なる感覚が私の中に芽生えている。
20年前も同じような感覚の時があった。
長女が母になる瞬間に立ち会い、それまでの価値観が大きく揺らいだ。
その時誕生したのが、「お母さん大学」というわけだ。
お母さん大学では、こう伝えている。
「キャンパスは家庭、先生はわが子。子育て中だからこそペンを持とう。
半径3メートル(家庭)の世界に未来がある」。
だが今、この言葉に頷く人が、どれだけいるだろうか。
簡単、便利、楽を優先する社会に反することはできないが、
それと引き換えに失うものがあることも、母として忘れてはならないことだと思う。
泣く、笑う、喜ぶ、怒る、感じるといった人間の感性は、AIにはない。
すべては、生活の中から生まれるもの。
働く社会になり、いい仕事は、いい生活(育児)をすることなのに、
生活(育児)より仕事を優先する人が勢いを増している。
旅先のホテルで手にした、新潮社の『センス・オブ・ワンダー』。
実は、別の出版社から出ていた同名の本を、ずいぶん昔に読んだことがある。
だが今回、なぜかこの本が直球で目に飛び込んできた。
改めて読むと、懐かしい恋人に出会ったような気がした。
この歳になって、これまで全く興味がなかった宇宙の神秘に心が動き、
種子島までロケットの打ち上げを見に行くなど、最近ちょっとおかしな私。
だがきっと、そこには何か、大切な未来があるような気がしてならない。
著者レイチェル・カーソンは、雨の降る暗闇の海岸を、
幼い子ども(甥)を毛布にくるんで歩いたり、
真夜中に砂浜のカニと遊ばせたり、雨の森を歩き回ったり…と。
大人でもちょっと怖そうな、
自然の中で味わう子どものセンス・オブ・ワンダーを、存分に楽しんでいた。
夏休みには、真夜中に満天の星を眺める、雨の森を探索するなど、
センス・オブ・ワンダーを家族で楽しんでほしい。
新しい自分と、出会えるかもしれないから。
(藤本裕子)
お母さん業界新聞8月号

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