お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

大きな大きな出来事すぎて、こんなに時間が経っちゃった

さて、あの時の話をしようかな。暑さも去ったことだし。

 

夏休みが始まってすぐ、わが家は6泊7日の北海道旅行に出かけた。

旅のメインの一つ、中2の息子が十勝で1泊2日の農場体験を終わらせてすぐのこと。

「牛の世話をしてみたいですっ」と宣言し、朝4時半起きで慣れない餌やりなどを頑張って達成感いっぱいの息子。そんな彼を家族で褒め、お迎え後にご褒美のジンギスカンをたらふく食べた後のこと。

ホテルに戻り、さて温泉に入ろうかというとこだった。お父さんとお母さんが部屋に着替えを取ってくるよ、二人はテラスで待っててと言って、離れた数分後。

ガッシャーーーーーーーーーーーン!!!!!!!

何かが割れる大きな音がしたと思った矢先、娘が「ママ!!いっくんが!!!」

何!?って推測する隙もなく、息子が

「お母さん!!!!」

と駆けてきた。映画やドラマでしか観たことのないような顔面血だらけの姿で。

それははしゃぎ気味に妹のあとを追おうとした時だった。達成感と疲れと高揚感が入り混じり、そして夕刻の見慣れぬ窓、一瞬の出来事だった。扉のあるガラス窓と見間違えて、真横のガラス窓に激突したのだ。

どんな声を出したか、もう覚えていない。現場に行くと、窓ガラスが割れ、床は血痕だらけ。まもなくして、ホテルの方も来てくれて、私たち両親は謝りながらガラス片や床を掃除し、息子を落ち着かせ、部屋で震えていた娘を落ち着かせた。

そしてその後、救急車で十勝から帯広の総合病院まで片道1時間半かけて緊急搬送してもらい、右まぶた12針、あご5針、膝も処置してもらった。

「眼球は大丈夫そうです。でも右まぶたの傷は完全には消えないと思います」

お医者さんにはそう言われた。安堵と胸の痛みと、もうよくわからない。ワンピースのゾロのような縦に入った傷が痛々しくて、待合い席でなぜかよちよち歩きの時の顔が浮かんできた。なんであんなことが起きちゃったんだろう。お願い、時よ戻れ…。

でもね、不幸中の幸いは、誰も他に巻き込まなかったこと。失明しなかったこと。骨折もしなかったこと。妹がお兄ちゃんが窓にぶつかる瞬間を見なかったこと。。よかったことに目を向けながら、自分の手をギュッとつまんで、大丈夫、大丈夫と言い聞かせるのが精一杯だった。

当の息子はというと、事故直後はもちろんショックを受け、割れた窓ガラスのことで謝っていたが、埼玉に戻ってからは「お母さん、顔の真ん中じゃなかっただけよかったじゃない〜」となぜか飄々とした感じ。もうっ!二度と、あんなのごめんだからね。もう、絶対だよ。

 

文字にするとこういうことなんだけど、私のなかに光景が焼きついてなかなか離れない。人にこの話は結構できるけど、文字にするのが怖くて、なかなか書けなかった。(ということで、旅のアクシデントの宿題提出せずでした・・・)

でもね、この出来事は母である私をまた一つ、育ててくれた。

 

大怪我は旅の途中。帰路の飛行機まであと3日ある。翌日には親友一家とのキャンプ。こんな状況でキャンプする人はそうそういないと思うけど、ベッド付きコテージを予約していたので、キャンセルしたとて他に寝床はなく、キャンプ決行!

親友一家も気遣いながら受け入れてくれて、子どもたちも再会に気分も上がって、だいぶほぐれていた。

消毒をしてガーゼを貼る以外、地元の総合病院に行くまで、親ができることは気をつけて過ごさせる以外何もない。だから飛行機搭乗のその時まで、気持ちが引っぱられそうになっても、

ただ、ただ、いまにフォーカスして、旅を続けた。気球に乗ったり、帯広名物の豚丼を食べたり、大自然の公園を歩いたり。もー楽しめることは楽しもう!そんな風に旅を続けた。

乗りきった分、夏の終わりにはドッと気落ちしたけど、それだって仕方ない。あなたが一番怖かっただろうけど、お父さんもお母さんも妹もどれだけ怖かったか。

大きな大きな出来事だった。でも、私たちはそれでも旅をするでしょう。安全を願いながらも、子どもにも旅をさせるでしょう。生かされているんだもの。ついた心の傷は癒しながら。

何年か経って、また違う景色がみられることを願って。

 

 

 

 

 

 

母というものは、母というものは・・・鍛えられるものですな。

2件のコメント

山﨑さん

あー心がぎゅうと締め付けられました。
その時の母の気持ちを考えると、本当に辛いです。
時よ戻れ!わかります!
一瞬で起きてしまうのが事故、それは避けようがなく、これですんでよかったと思うこと以外ないかな。  
家の中にも危険はつきもの。
わが家も、家の中で子どもから目を離したすきに、事故が起きたことがありました。
今振り返ってもゾッとする出来事。
入院して手術したけれど、時間が薬の怪我だったことが幸いでした。

とにかく、一寸先は闇、これは本当にそう思います。

だから、平凡な日々が送れていることに感謝しなきゃと思うのです。 

高望みをしたくなる時がありますが、元気に生きていてくれること、それだけで親孝行なんだなぁと。

その後もう怪我の方は、大丈夫ですか?

真紀さんー頂いたコメント読んで、なんだか急にどんどん涙出ました。。

ほんとに。何事もなく過ごせる日のなんとありがたいことか。
忘れずにいたいと思いつつ、小言言っちゃったりすることあるけど、やっぱり忘れずにいたいです。

真紀さんのお子さんもおうちで。。
本当に一瞬のこと。辛かったですね。
きっと、しばらくあちこちドキドキしましたよね。

時間薬!うちもそうであるといいな。コメントありがとうございます。

抜糸後に傷を薄くするテープを少なくとも3ヶ月貼るように言われていたんですが、めんどくさがって途中からせず(涙)それこそガミっと言っちゃいますが、でも少しずつ赤みは薄くなっていくはず。願う!

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山﨑恵
肝っ玉母ちゃんに憧れる繊細母ちゃん。アメリカで子育てをスタートさせるも、第二子出産後に産後うつになる。あの頃の自分にも、いま同じ思いをしている お母さんにも言ってあげたい。「いろいろあるけど、それでも大丈夫だよ」って。数年前、夫の実家の横須賀にあるカフェでお母さん業界新聞を手にとる。 配ってくれた人がいて、ここにたどり着いたご縁に感謝! このままの「お母さんであるわたし」でペンを持ち、人と社会とつながりたい。いまは地元埼玉県川口市で子育て・自分育ての根っこを下ろし中。 最近はまっているお灸でぽかぽかするのが至福の時。子ども/小6男、小3女