9年前の今ごろ。
わが家は、まだ生まれていなかった娘のベビー肌着に、水通しをした日でした。

海が見渡せるアパート。
秋晴れの青空に、
小さくて繊細な肌ざわりの洋服と、
かわいい絵柄のバスタオルを干して。
まだ見ぬわが子が袖を通す日を思うと、
いつものベランダは、幸せにあふれて見えて。
私はそれをいつまでも眺めていました。
このころ、空にはよく、ダブルレインボーがかかっていました。
洗濯物を干しながら、「この虹はきっと、娘の誕生を祝ってくれているんだ」と、天にも応援されている気持ちに。

あの海の向こうからやってくるのかもしれない。
水平線から伸びてくる虹を見てそう思った、9年前のベランダと洗濯物。
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