お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

絵本を通して親子を笑顔に えほん箱 9月

『ぞろりぞろりとやさいがね』

作:ひろかわさえこ
偕成社/1540円

「もう、がまんできない!」と冷蔵庫から悔しそうに出ていくのは、忘れられくたびれた野菜たち。今夜恵まれない野菜たちの集まりがあるらしいと「うらめしや」と歌いながらぞろぞろ行進する野菜たちの哀愁漂う表情に心が痛み、みみず和尚の言葉が心に沁みる。ラストシーンが素晴らしい。台所のSDGsは野菜の気持ちになることだ。

『ホシムクドリがうたう歌』

作:オクタヴィー・ウォルタース
訳:塩﨑香織
アチェロ/2420円

せかいはすてきなものであふれている。ホシムクドリは感じたことを歌にして歌いたいと、キツツキやフクロウ、たくさんの生きものたちに聞いてみるが、答えはそれぞれ違い、これまで気づかなかった見方や世界を知る。旅鳥であるホシムクドリだからこその気づきだろうか。私にとって、わが子にとって、「すてきなもの」って何だろう。

 

『パパはたいちょうさん わたしはガイドさん』

作:ゴンサロ・モウレ
絵:マリア・ヒロン 訳:星野由美
PHP研究所/1870円

 

パパは目が見えず、私はかすかに見える。私はパパのガイドさんで、パパは私のたいちょうさん。パパと手をつないでまちを歩くのは探検。パパはみんなが見ていないものも見ている。車は動物みたい、すれ違う人が悲しそうと感じ、いろんな音も聞き分ける。当たり前の日常も想像力をふくらませると…。2人の幸せな時間を覗き見。

 

『シマをなくしたシマウマとうさん』

作:ソポ・キルタゼ
訳:前田君江・前田弘毅
ゆぎ書房/2200円

ある日、シマウマとうさんは自分の体の「シマ」が一本なくなっているような気がしてドッキリ。家族に相談しても、お医者さんに行って薬を飲んでも効き目はない。いじけてやけっぱちになっていく様子がユーモラスな絵で綴られ、応援したくなる。下を向いて一人で思い悩んでいたら気づかなかった、後半のとうさんの行動にニヤリ。

 

『しましまじま』

作:tupera tupera
ブロンズ新社/1650円

 しましまじまは、しまじゅうのものがみんな「しましま」。人も生きものもおうちも何もかも。いつもはのんびりしているけれど、年に一度の「しましまじまんたいかい」には、「しましま」が集まってにぎやか。こんなところがあるかも!と思えるのはtupera tuperaさんの本気の色遊びの賜物だ。しましまの服を着て遊びに行きたくなる。

お母さん業界新聞9月号 えほん箱