お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

赤松林を支配するマツタケ菌根菌(きんこんきん)

こんにちは。前回は、植物の根と共助・共生する「菌根菌」について、
5000〜6000種類もあり、
陸上の8〜9割の植物が共生しているという話をしたね。

ではどのようにして植物は、共助・共生する菌根菌と出会うのだろうか?

植物は、自分と共生できる菌根菌に知らせるために、
根から共生シグナル物質を分泌するんだ。
菌根菌は、その物質で宿主植物に出会い、
認識して寄生し、共生していくんだよ!

共助・共生の事例として 「なぜ、マツタケは少なくなったのか?」 、
その原因を紹介しよう。

「マツタケ」は最大の菌根菌であり、
痩せた土壌に生育して赤松林で収穫される。
しかし、近年は収穫量が極端に少なくなり、
国産はほぼ壊滅状態である。

有史以来人々は、集落の周囲の里山林から燃料薪として枝木や落葉を採集してきた。
そのため里山林は痩せた土壌となり、
赤松が多く生え、マツタケが豊作に採れたんだ。

1960年頃には燃料が石油・ガスに変わり、
赤松林からの燃料薪の搾取がなくなった。

そのため落葉枝が貯まって堆肥化し、
赤松林の土壌が肥沃になり、「痩せ地系のマツタケ菌根菌」がいなくなり、
マツタケは採れなくなった。

そして赤松林も、マツタケ菌根菌との共助共生を得ることができず、
樹勢が衰え、松喰虫に襲われ、急速に消えてなくなってきているんだよ。

このように、土壌の条件が変わると、共生菌根菌の種類が変わり、
植物は共助共生のパートナーが得られずに滅んでいく。

つまり「菌根菌が植生を支配する」と言い換えることができるんだ。

今日はここまで。ごきげんよう!

(お母さん業界新聞1803/ボクは微生物)

有機菜園プランナー・濱田武人(Taketo Hamada)

スーパーゼネコンの土木技術者として国内外で建設工事に従事した経験を生かし、
「次世代につなぐ豊かな環境」をテーマに濱田技術士事務所を開設。
自然環境保全問題に取り組むべく、建設・環境コンサルタントエンジニア、有機菜園プランナーとして活躍。
菜園や庭園の設計施工の傍ら、100%有機土壌の家庭菜園づくりを通し、食と健康、生活の美の創出を提案中。
にんじんCLUB「ど根性菜園」総合プロデューサー。
バラ邸作家としても著名。