「ハハコモマイ・だっこフラ」とは、お母さん大学の新プロジェクト。孤育てをする母親たちを笑顔にしたいと、お母さん大学「母フラdeピンクリボン」リーダー・小林順子と立ち上げた。2025年6月、オーディションを通過した5人が全4回のプログラムを修了し、「だっこフラ1期生」として誕生。
7月25日・26日には、横浜市役所で行われた「へーベルメゾンBORIKIえほん箱パーティー」(主催/旭化成不動産レジデンス・お母さん業界新聞社)で、わが子と共に笑顔でステージに立った。赤ちゃんはスヤスヤ、お母さんはニコニコ。コンセプトを想定以上の効果で見せてくれた5人の笑顔は眩しい。この秋、2期生、3期生を募集する。だっこフラを踊る母たちの笑顔を、全国へつないでいく。

ゆとりを持って子育てを楽しめるように
中西明日香(りん・1歳半)
昔からダンスは得意で、学生時代は、体育祭のダンス団長をしたり、よさこいを最前列で踊ったりしていた私です。フラダンスはゆっくりだし、難しい振りもないから簡単に踊れるだろうと、正直なめていました。ところが思いのほか奥深く、小手先では通用しないことを痛感しました。振りは、シンプルだからこそ、視線一つで印象が変わる琴線レベルの表現の難しさがありました。ダンスで人にひけをとるなんて、と自信も喪失しましたが、確実に自身の世界を広げることができました。
これはダンスに限ったことではなく、子育てに関しても言えることでした。私は、子どもを保育所やダンナさんに預けたりすることに抵抗はありません。
というか、むしろできるだけ、娘と別々の時間をつくろうと努めているし、いかにして子育てを手抜きするかばかりを考えている私です。
もちろん娘のことは大好きですが、皆さんを見ていて、「ああ、こういう愛し方をすればいいんだ」と、とても大きな学びをいただきました。
元来せっかちなタイプで、すぐにイライラしてしまいますが、これからはみんなを見習って、ゆとりを持って子育てを楽しんでいけたらと思っています。
フラの音楽にはリラックス効果がありますので、子育てにいっぱいいっぱいになりがちな、お母さんとフラの組み合わせは、本当に最高だなと思えます。
フラの上達とともに、子どもの成長の喜びを分かち合うこともできます。だっこフラを通して、お母さんとしても成長していけたらと思っています。
母子ともにwin-winなところが魅力
梶原亜紀(はな・7か月)
お母さんになってからというもの、何につけても、自分が楽しむことイコール、娘をないがしろにしているような気がしたものです。
その点、だっこフラは、母子共にwin-win。練習中、娘は決まってスヤスヤと寝てくれましたので、後ろめたさどころか、だっこフラのすごさを実感。私はなんてすごい方法を身につけたんだろうと思っています。
イベントのステージ本番までの道のりは、あっという間でした。メンバーの中では私が一番の年長者。いわゆるママ友との間では気後れ感もあったので、最初は多少の戸惑いや遠慮がありました。ところがだっこフラの皆さんとは時間をおかずに打ち解け、年齢を意識せずに子育てを共有することができました。
平日の日中は子どもと2人の生活です。だっこフラを始めてから、週に1度の練習でみんなに会えるのもとても楽しかったことの一つです。
娘と電車で通うのも初めての体験で、不安もありました。でもメンバーの2人が同じ駅から通える仲間だったのも心強かったです。思ってもみなかった、子育ての孤独感や不安が癒され、とてもいいパワーチャージになりました。
イベントへの出演が決まってから本番までの緊張感も、仲間とだからがんばれたし、楽しめたのだと思えます。
娘が抱っこできるこのタイミングで4人と出会い、5人でお母さんであることの価値を深めていけたのは、ラッキーでした。
これからも、抱っこできなくなるまで、だっこフラを続けていきたいと思います。
女性として美しく踊ることにも快感が
飯田琴(ゆうしん・9か月)
もともとフラダンスに興味がありましたので、だっこフラを知った時、子どものためというより、自分のために「やってみたい」と思いました。
子育ては想像以上に大変でしたが、自分のこと以上に大切に思える子どもという存在を得て、お母さんになれた喜びを実感していた私です。
イライラするのは子どもではなく、ダンナのほう。子どもをかわいがってくれるし、言えば何でもやってくれます。でも雑だし、なんかちょっと違っていてイライラしてしまう…。
これじゃダメだなと思っていた時に、だっこフラに出会いました。すると、不思議とイライラがおさまり、心にゆとりが生まれてきたのです。
さらに思いがけないことに、自分の中の「女性」としての目覚めを実感することになりました。子どもを産んでからは封印していた、アクセサリーやマニキュアをつけたり、おしゃれな洋服を着たり…。
とにかく日常すべてが子ども優先で、すべて後回しにしてきたことも、やっていいんだな、楽しんでいいんだな、と気づけたことも大きかったです。
ステージに親子で立った時は、感動が込み上げてきました。息子ではなく、私を見て言ってくれた「よかったよ」という、夫の一言もうれしかったです。
踊っている私たちも笑顔、赤ちゃんはまったりいい気持ち、観客の皆様も笑顔で、とても素敵な時間でした。
母と子はもちろん、夫も周りも含め、みんなが笑顔になれるだっこフラを、もっとたくさんの人に知ってもらいたいと思います。
子どもと一緒にリフレッシュできて最高
小島まなみ(あやなり・9か月)
お母さん100%で生きている私。料理は鰹、煮干し、昆布で出汁をとった後、昆布を佃煮にしたり、おかかのふりかけをつくったりと、手間暇をかけ丁寧に生活するのが好きで、ずっとやってきました。
子どものためにはそこまでする反面、自分は出来合いのものや簡単なものを食べて済ませる毎日。夜中も頻繁におっぱいに抱っこ。栄養不足に睡眠不足がたたり、普段なら何でもないことで大けがをしてしまいました。なんと全治1か月…。そうなって初めて気づきました。自分がいなければ、この子は死んでしまう。もっと自分を大事にしなければ、と。
とはいえ、主人は仕事が忙しくほぼワンオペ育児で大変な日々は続きました。特にだっこフラの日は大忙し。息子にはしっかり朝食を食べてもらいますが、自分は食べずに家を出るのも当たり前でした。
抱っこフラのメンバーの皆さんに会って話すうちに、子育ても便利なものに頼ったり、自分のために息抜きをしてる方々もいて、もう少し肩の力を抜いてもいいのだと新たな気づきをもらいました。
役所の面談でも、ワンオペだと知った保健師さんに言われます。「もっとシッターさんとかに子どもを預けたら」と。でも私は、少々大変でも一秒でも多く息子を抱っこして成長を見ていたい。子どもにできる限りの愛情を込めたいと思ってしまうタイプです。私のようなお母さんにとっても、子どもと一緒にリフレッシュできるだっこフラは最高です。
もともとフラダンスをしていて、しばらくはお休みするつもりでした。赤ちゃんと一緒に踊れるなんて、うれしすぎます!
産後の辛さを乗り越えるきっかけに
千葉麻理奈(はくえい・7か月)
だっこフラに出会って、子育ても、人生も変わった。そう言い切れるくらいの変化がありました。
一つは、息子への想いです。かわいくて愛おしい存在。でも、そう思えずに「本当にもう無理…」と、笑顔になれない日もありました。あれほど苦しかった息子の泣き声ですが、今では息子が泣いたら「ハイ、ハイ」と喜んで抱っこ。ゆらゆらして、私の気持ちが穏やかになるせいか、息子もすぐに泣き止んで、100%寝てくれるようになりました。
そして、だっこフラと仲間との時間。両方が宝物に思えます。練習が終わった後、みんなで話しながら、お昼ごはんを食べるのも本当に楽しかったです。
少しでも「息子と離れたい」と願っていたあの頃。あれほど辛かった子育てが楽しく、お母さんであることがこんなに誇らしく、素晴らしいものに思えるなんて、自分でもびっくりです。
イベントは、初日と2日目と、異なる想いで挑みました。1日目は5人揃ってステージに立てたことがうれしかったのですが、2日目は、一人でも多くの人に「だっこフラの良さが伝わりますように」と、強い思いを込めて踊りました。
本番では、練習中は必ず寝ていた息子がなぜか寝てくれず、100%起きていました。それもまた忘れられない思い出です。
産後の辛さを忘れることはないと思いますが、それを乗り越えるきっかけになっただっこフラには、心から感謝しています。
同じように子育てに孤独や不安を抱えたお母さんたちにも、だっこフラを伝えていきたいと思います。
ハハコモマイ・だっこフラ
オーデションからイベント出演までの道
6月のオーディションに合格したのは、5組の親子。そこから練習を始め、4回のプログラムを経て7月25日・26日、横浜市役所アトリウムで開催されたイベント「へーベルメゾンBORIKIえほん箱パーティー」で、ステージデビューを果たしました。赤ちゃんを抱っこしてフラを踊るだけではありません。ペンもマイクも、おむつも持つ、最強の母たちです。(レポート/小林順子)
▼だっこフラの説明会とオーデション。「育児に不安がある人」「子どもの夜泣きに悩んだことがある人」など、応募条件がポイント。5人のドキドキとワクワクが伝わってきます。

▼やった~!オーデション合格を聞いて、一気に笑顔になるメンバーたち。だっこフラで、私は笑顔になる。そして、わが子もスヤスヤ、笑顔に、なるはずです。

▼レッスン用のカラフルなスカート(パウスカート)を用意して披露すると、メンバーたちの心は一気にハワイへ! レイをかけると、さらにテンションが上がります。

▼練習の日に、横浜みなとみらいの観覧車前で記念写真。気分はフラガール。ちょっと違うのは、全員赤ちゃんを抱っこしているフラマザーだということ。

▼本番直前。化粧を直す間もなく練習に励むメンバーたち。気がかりは、わが子は寝てくれるか…ということ。母の緊張が伝わると寝てくれません。落ち着かなければ、と深呼吸。

▼人前でマイクを持って、自分の子育てについて話す日が来るなんて、想像もしていなかった5人。緊張で声が震えるけれど、一人ではない。仲間がいるから大丈夫。

▼初めてのステージ。ハワイの名曲「アロハオエ」を踊るメンバーたち。胸にわが子を抱き、わが子を見つめながら踊る姿は、この上なく美しく、まるで聖母マリアのよう。

▼ラストのLet’sフラでは、お客様をステージに誘導。子どもたちに混じってお父さんたちも。たくさんの人がステージに上がり、一緒に踊ってくれました。

▼「だっこフラの皆さんでしたー」というMCの言葉を受け、メンバー全員が客席に向かって頭を下げた。それぞれの「喜びと感謝」の心が一つになった瞬間です。

お母さん大学ハハコモマイだっこフラ
2期生・3期生 同時募集!
母としての喜びを実感できる期間限定の場所
本番前、円陣を組んで言いました。「今日はたくさんの拍手をもらえると思います。でもこの拍手は私たちに送られるものではありません。どうかあなた一人に寄せられた拍手だと思ってください。私はあなた方一人ひとりを尊敬しています。あなた方はたくさんの人から称賛を受けるべき素晴らしい人です。どうかたくさんの拍手を浴びて、最高の笑顔を見せてください」。
つくづく「お母さん」てすごいなぁと思います。おむつを持つ、ペンを持つ、おまけにマイクも持つ。いろんなものを持って舞うお母さんたちは、とても美しく輝いていました。
そして、このだっこフラがすごいのは、ただ踊って終わりではなく、こうして、お互い本音で深い話ができること。フラダンスを踊る場所はたくさんあります。でも、こんな風に話ができる場所、つながることができる場所はほかにはありません。
お母さんは子どもが一番。子どものためなら何だってできる。でも「自分」であるため、「母である喜び」を実感することは、そうないと思います。
赤ちゃんとお母さんの濃密な時間は、永遠ではありません。先輩お母さん方が口をそろえて言うはずです。「今が一番いい時よ」。心からそう思える自分になるために、一緒にだっこフラを踊りませんか。
●小林順子プロフィール
横浜市在住56歳。JLCテレビアナウンサーを経て結婚・出産。先天性最重度知的障害で自閉症の息子の母となる。47歳の時に乳がんに罹患。だが息子の自傷行為やパニックの日々が激変。闘病と障害児育児を支えてくださる方々に感謝し「皆さんの充電器になろう」と決意。2018年、障害者支援団体ジュンコフラサークルを設立。2020年手記「有難う」が第55回NHK障害福祉賞最優秀賞を受賞。2021年、お母さん大学MJプロとして「母フラdeピンクリボン」を発足。赤ちゃんを抱いて踊る「だっこフラ」を企画。
ー 記 ー
■内容/ハハコモマイだっこフラ説明会&オーデション
■日時/2025年10月1日(水)10:00~12:00(2期生)
11月5日(水)10:00~12:00(3期生)
■場所/お母さん業界新聞社 横浜市西区みなとみらい2-1-1
日本丸メモリアルパークタワー棟A-4
■参加費/無料
■主催・問合せ/お母さん大学 info@30ans.com■参加条件
①育児に不安を感じたことがある人
②子どもの不眠や夜泣きに悩んだことがある人
③抱っこでフラが踊れる人(2歳までの子どもと参加)
※フラ未経験者、初心者歓迎
④お母さん大学生として、ペンを持つことができる人
※写真と実名が発信可能な人
⑤お母さん大学本部へ通える人
(日本丸メモリアルパーク内/横浜市西区みなとみらい2-1-1)
⑥全4回のプログラムに参加できる人
実施日:いずれも水曜日
10月8日、15日、22日、29日(2期生)
11月12日、19日、26日、12月3日(3期生)※プログラム修了後、希望者のみ、月1、2回の
レッスン参加や、ステージ出演も可。※未経験者、初心者歓迎
お申込みはコチラ
おかあさん業界新聞8月号 特集
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。