お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

親と離れて暮らす「安心」とは

1年近くわが子と暮らせない母親がいる。昨年4月、「こうのとりのゆりかご」で知られる熊本の慈恵病院で子どもを出産した10代の母親だ。当初、内密出産を希望していたが、医師や相談員と話す中で、自分で育てることを決心、内密出産を撤回して出産したという。

誰にも相談できず、一人不安な中、熊本への旅はどんなにか心細かっただろう。幸いにも、病院が彼女に寄り添い、無事に安全なお産ができた。

その後、地元に帰って子育てをするに至ったが、孤育てをする中で極度の睡眠不足などで疲弊し、児童相談所に相談。結果、一時保護され、1年以上も子どもと離れて暮らすことになったという。

そもそも、内密出産を希望するほど孤立していた女性が、なんとか出産にこぎつけたというのに、その後のサポートは、真に母親に寄り添ったものだったのだろうか。1歳にもならない乳児を長期間、母親から離すことでしか、この母子を守るすべはないのだろうか。支援の在り方に、限界を感じる。

お母さん大学生、星村愛理さんの記事「ボクにも譲れないものがある」より抜粋。
――7か月の息子を抱っこして湯船に入ると、めざとくおっぱいをロックオン。湯船の中の授乳タイム。

そんな弟を見て、姉(3歳)も飲みたいと言いだし、右乳弟、左乳姉で授乳タイム。まぁ、静かに湯船につかれるならいいやと思っていたら、不満げに横目で姉を見て、小さい手でペチッペチッと姉を叩いて反撃! 7か月にしておっぱいは自分のものという自覚が、もうあるの⁉と母はびっくり。無視して飲み続ける姉に、今度は髪をひっぱって反撃!――

離れて暮らす母と子の「時間」が、母子の未来をどう潤わすというのだろう。それが一番の支援というのなら、母と子が納得できる説明が必要だ。

確かに子どもの一時保護を解除したことで、小さな命を失った事件もある。こうした事案は複雑で、一つとして同じケースはない。だが幼子にとっては、母を奪われてしまうことも、虐待ではないだろうか。

厚生労働省によると、保護者同意のない一時保護の件数は、2020年1万4476件と、2016年の1・5倍に増加。多くの子どもたちが、親と離れて暮らす「安心」を強いられている。

お母さんのおっぱいを奪ったら、7か月の子さえ、牙を剝く。それほどお母さんというものは、子どもにとってはかけがえのないものなのだ。

2023年は、子どもを真ん中に考える時代の幕開けにしなければならない。

(藤本裕子)

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藤本 裕子
株式会社お母さん業界新聞社 代表 お母さん大学 学長 お母さん業界新聞 編集長 娘3人、孫4人 大好きなもの:TUBE・温泉・ビール