「母」という漢字は、もともと女が跪いた象形に、乳房(愛情の印)を表す2つの点が加えられて成り立ちました。女は男と出会って母となり、新たな生命を宿し、養育する。子はやがて成熟し、父母となってその生命を次に繋ぐ営みです。
人間の特性は、たとえ障害を持って生まれた子でも養育し、病気や高齢で虚弱になった父母をも介護し、看とるところにあります。今や、この愛ゆえの習性が、育児の苦労や介護の負担を強いられるミドルエイジの父母、ことに母の、最大の社会課題の一つとなっています。
そんなお母様方に、私の天職である、命を救い、やがて看おくる醫療(人はいつか死ぬという摂理に寄り添っての醫者生活半世紀)からの気づきをお伝えします。
まずは「お互い様(相身互い)」、そして「いずれ我が身」。親や子、医者あるいは患者といった人間同士の関係性は流動的です。かつての他人事がいずれ我が事になるというだけでなく、そもそも全人類が共通の遺伝子で繋がっているのです。
次は「命の二重性」です。ヒトの「生物としての身体(生命)」と、その人が歩んだ
「物語られる人生(心や魂)」の2つ。若く健康であればこれらはぴったりと重なっていますが、やがて老化や疾病による身体の限界を迎えるに連れて、この乖離(二重性)が生じてきます。そして、死を迎えるのは「生物的な生命」である、という事実。
人が誰かに偲ばれる限り、「物語られる人生」は遺ります。死にません。
まちの診療所つるがおか
ソーシャルグッドドクター
千場 純
お母さん業界新聞2026年1月号
































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