お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

手をつなぐ 〜孫の姿が教えてくれた、 父への寄り添い方〜

80歳を超えた父は歩くのもゆっくりになり、足元も不安定になった。かつてはマラソンランナーで、他人の数倍のスピードで農作業をこなしていたが。

「じいちゃんが守ってきた田んぼを手伝う」と息子たちは言ってくれたが、今年は大阪での研修などで都合がつかず、私と父、不慣れな息子の3人で、機械植えを人に頼むことになった。私たちは田んぼの端っこを手植えしていく。

父はできていたことができなくなり、頼もしい孫たちも不在。父は寂しいだろうなと思っていた。でも、田んぼに足を入れるとわかる。爪に入るほど細かく柔らかい泥。父が私たちが植えやすいようにと、丁寧に代掻きをしてくれていたからだ。

ちゃぽ、ちゃぽ。水の音。ピーヒョロ。トンビの声。土があたたかい。横で座って見守る父は、この体でどれほどの時間をかけてくれたのだろう。

大阪の息子に「きつそうだから、田んぼをやめるように言おうか」と話すと、「それを決めるのはじいちゃんだよ。米作りをしたいなら、俺はできる限り手伝う」と返ってきた。私は父の何を見ているんだろう。父の守りたいものは何だろう。

母が恋しい。いつもそう思っていた。でも父も恋しかった。昔から怖くて、人に頼らない父。私は寄り添う方法がわからず、本当は手をつないでほしかったのに。でも孫たちは、歩く時も段差がある時も、ごく自然に父と手をつなぐ。それを見て私も、ようやく父と手をつなげるようになった。父も私の手を取るようになった。

手をつなぐのに遠慮なんていらない。「この手で役に立ちますか? つなごう!」と言っていいんだ。手をつなぐって、こんなにもうれしい。

(田川亜寿香)

お母さん業界新聞 7月号 あすか母さんのドタバタ日記

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