◆今回の取材の経緯
福岡支局は、2023年度休眠預金等活用事業「困難を抱える家庭を取り残さない仕組みづくり」に採択され、協働する6団体の一つとして、この3年間の事業に取り組んできた。事業3年目を迎えるにあたり、本事業や各団体の活動、そこに込められた思いを伝える白書を制作することになった。その一環として、各団体が日々の活動の中で受け止めてきた子どもや保護者らの声を聞き取るため、お母さん記者が各団体の取材を行うことになった。私と縄司真衣さんは、CAPプログラムに連動した学校アドボケイト派遣事業を展開する「特定非営利法人にじいろCAP」の代表理事である重永侑紀さんと田原泉さんへの取材を行った。
◆「にじいろCAP」の活動について
「にじトーク」とは何か。
それを説明するには、まず「にじいろCAP」という団体がこれまで尽力してきた「CAPプログラム」に基づいた人権教育・予防活動について説明しなければならない。
CAP(Child Assault Prevention)プログラムは、子どもたちが虐待やいじめ、誘拐などの暴力から「自分の心と身体をどう守るか」という専門的な知識やスキルを教えるものである。子どもは決して無力ではない。自分の大切なもの、自分自身を守る力がある。発達段階に合わせ、元々持っている力を発揮できるための人権教育・予防活動である。
CAPプログラムは、専門職、保護者、地域のおとな、そして子ども向けにワークショップを行っている。
子どもたちへの予防教育では、子どもの権利「あんしん・じしん・じゆう」について、いじめ・誘拐・性暴力についてのロールプレイを見て話し合いをし、その後、先生に相談するロールプレイを行い、最後にCAPスタッフが授業を受けた子どもたちと個別に対話する時間を設けている。
この対話によって、しっかりと信頼関係を築き上げているのだ。子どもの権利を基盤としたワークショップで「あなたには、安心、自信、自由の権利があるんだよ」としっかり伝えた後だからこそ、月1回開かれる「にじトーク」が生きてくる。
素直に意見を言える子もいれば、そうでない子もいる。子どもたちが意見を表明・表出するには自分を表現する練習が必要である。深刻になったりシリアスになったりすることもなく、かといってポジティブに盛り上げるわけでもない。子どもたちが言いたいように、話をしたいように話せる場であり、そのままを聞いてくれる大人を求めている子どもの声を聞く場、それが「にじトーク」なのだ。
にじトークは、「学校アドボカシー事業」として、さまざまな学校課題や、いじめ・不登校・校内暴力・自傷行為等の早期発見や予防に効果があるようだと説明を行うことで、行政・教育委員会の合意を得て始まった。月1回のにじトークを通して、子どもたちの「見て!」「聴いて!」を叶えている。
◆にじトークで聞こえてきた声
「自分が悪くないと教えてくれてありがとう」
実際に声を聞き続けて聞こえた一言である。
子供の権利を知ったことで、自ら虐待を受けていたんだと気づいた子どもがいた。気づくことで傷つくのではなく、自分はダメな人間だと責め続けていたことがきつかったんだそうだ。
にじトークで「親だって間違うことがある」と知ることで、子どもは自分の存在価値に気づくことができるという。
この話を聞いて、子ども・親の双方が自分を守るための予防が大切だと感じた。
昔は法律もなく、子どもの話を聞いても何も手だてがないということもあった。これまで被害にあった子の声を一つずつ、児童相談所や市役所等に、にじいろCAPはじめさまざまな所から上げ続けた結果、法律も変化してきた。
学校で行う「いじめ」もしくは「困り事」がないかのアンケートでは、個別で話す時間を設けてもらえるという理由から「相談できる人は?」という質問に真っ先に「学校の先生」に相談すると答える子どもも増えているそうだ。
地域の大人と話す機会が昔に比べ格段に減っている今だからこそ、地域の方に力を貸してもらい、一緒に「にじトーク」をする仲間を集う目的で「学校アドボケイト講座」を行っている。2日間で座学と実践を学び修了すれば、実際に小学校に同行して「にじトーク」に参加できるようになる。
◆親・教員・地域の人、それぞれの役割がある
「救ってあげなきゃ、助けてあげなきゃではなく、子どもたちをリスペクトしている。『尊敬』と日本語で言うより『リスペクト』という言葉がしっくりくる」と重永さんは言う。本気で子どもたちの持っている力を信じているからこその言葉だと感じた。
行政、学校、地域間で「対話」を続けてきた先の人間関係がある。互いに「こんな方法を提供できるよ」「使えそう?」などと声をかけ合い、助けてあげるのでも、白黒ハッキリさせるのでもなく、支援される・するという関係でもない。「一緒に話していると楽しい、面白い」と思ってもらえる対等性が重要だと伝えてくれた。
「にじいろCAP」は、昨年度で活動を始めて30年を迎える。さまざまな方面で「対話」を続けてきた。これからも、「すべての子どもが生まれてよかった」と思えるように歩みを続けていく。
◆私が取材に行って感じたこと
子どもは案外我慢強いし、親をよく見ている。そんな中、身近な人にでさえ自分の思いを伝えるのは、「否定されたらどうしよう」と思って言えないことも多かった幼少期の私。
こうして継続的にワークショップを行ったり、子どもの話を聞いたりすることは非常に重要だと感じた。これまでの活動を通して、どれだけの子どもが救われてきたのだろうか。コロナ禍を経て、またAIが普及する今の世の中、コミュニケーションを苦手とする若者が増えている。しかし、心が通うと感じるのは「人対人」の対話なのだと、改めて私自身も深く考えさせられた。

































コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。