徳島県阿波市。田園風景が広がる場所に、フリースクール・トエック(ようちえん、小学校)はあります。
農園もあり、自然が豊かな環境です。4月21日、春のおまつりが開かれて家族で参加してきました。
旬のたけのこを使ったごはんや天ぷらや煮物を食べたり、“おかあさんのてづくりバザー”を楽しんだり、広島から駆けつけてくれたグループの音楽や歌を聞いたり…。




娘は、どろんこ遊びができる一帯へ。数人の赤ちゃんや子どもが素っ裸でどろんこまみれになっています。娘も靴と服を脱いで、どろんこのなかへ。

服が汚れるからやめてー!という親はおらず、親たちは微笑みながらその様子を見守っています。一緒にどろんこまみれになっている“お父さん”の姿もありました。
田んぼにはアメンボやタニシ、蛙もいて、子どもたちは蛙を捕まえてにんまり。
「おしっこ!!」
突然娘が言いました。泥を落として着替えて…なんて余裕がないので、草むらで“青空便所”。男の子みたいに立ったまま、シャー!!とおしっこをする娘。その様子を見ていた、和歌山から参加していたお母さんが言います。
「“立ちション”できるんだ」
トエックには薪で沸かした天然風呂があり、この日もお湯が沸かされていました。どろんこ遊びをして、テントウムシを捕まえて…。たくさん遊んだ後に娘もお風呂へ。女の子の先客が3名。浴槽はすでに泥で濁っているけれど、なんだかとても気持ち良さそう。娘も一緒に入ります。

「おしっこ!」
「え?また?」
「そのへんでしちゃえ」
一緒にお風呂に入っていた子どものお母さんが言いました。
浴槽の隅でおしっこをした娘。
「おしっこ!」
他の子どもも続いておしっこをしました。
ホントはね、それは“いけないこと”であるかもしれない。だけど、「咎められる」ことがない。昨年秋に初めてトエックを見学して、大感動してしまった私。
やっぱりこの日も“感動”がありました。それは、自然とともに過ごす心地よさでもあったし、子どもたちが自由に遊びまわる姿であったり、お母さんやお父さんの“ゆるやかな目線”でもあったのだと思います。
家に帰って、どろんこまみれになった娘の衣類を手でゴシゴシ洗っている時も、なんだかとても心地よかったのです。
「トエックで『自由になる』ことを自ら学んでいく」
私たちは、そもそも自由だった。
批判ではなく、
健やかな方向ってどこだろう?



昨年トエックを見学した後の私のメモ書きにあったものです。
“自由であること”“健やかさ”。このふたつがあるのだな。トエックには。
翌22日。娘は保育園からいつもより少し早く帰り、じじとばばと仕事休みだった父と母と地元海岸へマテ貝を採りに行きました。夫が言います。

「昨日の続きみたいだね。これもフリースクールじゃん」
そうだね。フリースクールって、どこでも生まれるものなんだ。
朝、保育園に行くことがあまり進まない最近です。
「お腹いたーい」
と言うことが増えました。
保育園は集団生活だから、ルールも守らなければいけないから、窮屈さを感じることもあるよね。

日々のなか、子どもが育っていく環境に、なるべく多くの「健やかさ」を見出していきたい。そう思った母でした。
…………追記………
おまつりの最中、たびたび流れたアナウンスの最初に必ずスタッフが言っていた言葉がまた良かったのです。
「みなさま、ゆっくり過ごしていただいているでしょうか」。