長男は、アトピー性皮膚炎だ。
赤ちゃんの頃から湿疹が常にあり、
ひどくはなかったものの、
小児科や皮膚科に行っては、ステロイドや保湿剤をもらって塗っていた。
長男が2歳近くになったころ、
「ステロイドはダメ」
という考えに触れた。
え、そうなの?ダメなの?
そこで、「絶対ステロイドは使わない」という考えの人が一定数いることを知った。
アトピーは薬は使わない、使わずに治す、そういう考え。
そして私も、その考えに傾倒するようになった。
薬の代わりに使うもの、
いわゆる「代替療法」と言われるものを片っ端から調べて、使うようになって、
とにかく「薬はダメだ、ステロイドは悪だ、使ってしまった私はダメだったんだ」と、
今思えば、完全に意固地になっていた。
じゃあ、長男はどうなったかというと、
当然ながら痒いので、搔く。
痒いから泣くし、夜中も何度も起きる。
それでも私は薬は絶対に使わず、
自作の軟膏を塗ったり、アトピーによいと言われている保湿剤を塗ったり、
はたまた、あえて何もしなかったり。
「薬に依存したらこの子の肌は自力で治る力を失ってしまう」
目の前の息子は辛くて泣いているのに、だ。
そんな生活が何年も続いた。
・・・私は、頑張り方を間違えていた。
薬を使わない代わりに、
薬に依存しない代わりに、
「別のものに依存」していたわけだ。
代替療法に依存、
それらを推進する人達に依存、
結局のところ、
「誰かが治してくれる、何かが治してくれる」
と、他力依存になっていただけだった。
だから、目の前の息子が辛くて泣いていても、
それに向き合うこともなく、
彼の辛さに寄り添うこともなく、
「この人たちが言ってるんだから間違いはない」
と、見知らぬ誰かの言葉に依存していた。
しかし、長男が年長さんの夏、
親子共々心身ボロボロになり、そこで目が覚めた。
違う。こんなの違う。
その場でアレルギー科のある小児科を探し、
その日の夕方の予約をとった。
それから約3年、
長男は見違えるほどに元気になった。
あまりにもひどかったので、一時はガッツリ薬を使っていたが、
いまはほとんど薬は使っていない。
つるつるお肌も、笑顔も、自信までも取り戻した。
要は、舵を切り直したあの日、
私は覚悟を決めたのだ。
この子の肌は私が治す。
見知らぬ誰かの意見は、参考にはするけど依存はしない。
とはいえ、この3年の間にも、かなり揺らいだ。
アトピーによい、と言われるものを見聞きすると試したくなった。
でも、そうやって揺らいだ時に限って、
長男の状態も揺らぐのだ。
私自身も、
「あ、いま私、視野が狭くなってる。また盲信しようとしてる」
というのが感覚でわかるようになり、
そうなってる時は思い詰めかけてる危険サインだ、と、立ち止まれるようになった。
薬がいいとかダメとか、そういう話ではない。
薬使わずに治る子もいるし、
それでは治らない子もいるだけ。
何が合うかは、その子によってわからないのだから、
必要なのは、向き合う覚悟。
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先日も、とある友人に、
「誰かに幸せにしてもらおうと思ってないかな?」
と言われ、
はっと気付かされた。
いかんいかん、また私の悪いクセが出てしまっていた。
他人に「何とかしてもらおう」と思っているうちは、
その問題は解決しない。
他人の力を借りつつも、解決するのは自分だ。
これがダメならあれ、
と頼る先を変えたところで、
単に「依存する先」を変えているだけでは、何も変わらないのだ。
目の前の我が子は、何を望んでいる?
私たち親子にとって、家族にとって、ベターな選択はなに?
それはきっと、子どもの数だけ、親子の数だけ、答えがある。
だから、他人が出した答えは、あくまで参考程度に。
向き合うべき人を間違えてはいけない。
それが、
長男のアトピーを通して私が気づいたこと。