何から書いていいか分からないけど、書かずにいられないのでペンを取ります。
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日曜日、長男の友達が空へ旅立ってしまった。
海水浴場での水難事故でした。
同じクラスで、何より小4から同じソフトボールチームで
ずっと一緒に汗水流してきた仲間でした。
月曜日の早朝、チームのグループラインに流れてきた一報。
それはニュースの記事でした。
読んで、手と体の震えが止まらなかった。
よくある名前、きっと同姓同名じゃないの?
誰もがそう思いました。そう信じたかった。
監督がすぐ色々なところに連絡をして確認をとってくれました。
でも、みんなの願いは虚しく・・・
本人で間違いないとの連絡が来ました。
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4年生の頃からずっと、週末や祝日はソフトボール三昧で、
家族との海水浴なんて、数年ぶりだったんじゃないかな。
こんなご時世に・・・という批判もあるかもしれませんが
複雑な家庭環境や色々なことを考えると、
とても批判的な気持ちになれませんでした。
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長男が小学校入学したての頃、遊びに行った長男が泣きながら帰ってきました。
「一緒に遊んでいた子に悪口を言われた」
長男が小学校ではじめて泣かされたのは、あの子でした。
その時はまだよく知らないし「なんて子だ!もう遊ばなくていいよ!」と怒っていました。
後日、その子の家庭環境を聞いているうちに怒りはどこかへ消え、
以来、ずっと心のどこかで気になる子でした。
2年生で同じクラスになり、毎日長男と遊ぶようになりました。
家にもよく来て、みんなでゲームをして遊んでいました。
3年生でクラスは離れたけど、そのうち長男がソフトボールを始めたので、
「あんたもおいで〜」とことあるごとに声をかけていました。
4年生になり、その子のお姉ちゃんがソフトボールを始めたのをきっかけに
「オレも入る」とチームに入ってきました。
週末は練習や試合があるので、チームの大人の目が届くのでちょっと安心だな、と思ってました。
大人の会話に入ってくる大人びた子で「あんた、おばちゃんみたいやね〜!」と、よくからかって笑ってました。
野球やソフトボールはあんまり好きそうじゃないのに、休まずに練習や試合に来る子でした。
足がとにかく速くて、運動会のリレーはごぼう抜きで保護者席からどよめきが起こるほど。
試合でもピッチャー前のバントで1塁セーフになり、他チームからその速さに驚かれることもしばしば。
うちのチームの秘密兵器でした。
中学の入学式はコロナの影響でクラス単位でした。
他のチームメイトは別クラスだったため、みんなで一緒に写真が撮れず、
長男と同じクラスだったその子とだけ一緒に写真を撮り、
監督やコーチに「無事に入学式が終わりました!」と報告メールをしました。
中学校では「野球はもう飽きたので、別の部活に入る」とバスケ部に入ったようでした。
入学式で久しぶりに会ったときには、すっかり身長を越されていて・・・
「長身で足も速いし、いいところが活かせるね!」と長男と話していました。
コロナの影響もあり、部活も始まったばかりでした。
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ニュース記事を長男に見せると「信じられない」と一言。
月曜日に学校へ行くと、急遽学年集会が行われ、そこで話があったようです。
同じ小学校だった子は、すでにニュースを見て知っている子もいて
泣いている子も何人かいたようです。
同じチームメイトだった友達も、泣きながら学校へ行ったようです。
「ただ単に今日は学校を休んでいるだけみたいだった。
明日になったら、また来る気がする」
「まだ何も実感が湧かないから涙が出ない」
「時々死んだことを忘れてぼーっと考える。
なんでアイツが死ないかんかったと?何も悪いことしてないのに?」
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思い出が多すぎて、一日中私も気持ちの浮き沈みが激しく、
チームのお母さんたちと連絡取りつつも頭がぼーっとしていました。
チームの子はみんなわが子みたいに可愛くて、
いつでもどこでも気になって、声をかけて、
学校の運動会の時は、チームメイト全員を保護者みんなが追っかけて
写真や動画を撮りまくり、自分が撮り損ねても誰かが
「撮れてたよ!」と共有してくれて、みんながわが子のように応援していました。
そんなチームだったので、誰もが喪失感に襲われ
誰もがわが子を失ったような感覚で
そしてあの子の母親の気持ちを思うと
本当に胸が苦しくて苦しくてたまらない。
今は何も出来ないし、何もしてあげられない。
コロナのこともあるので、チームみんなで集まることさえできない。
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20年前に、同じ経験をした。
私も海で友達を亡くした。
数時間前まで一緒にいたのに「じゃあ、またあとでね」と分かれて
その後は身体も帰ってこなかった。
人の命はあっけない。
人が生きているのは当たり前じゃなくて
本当に偶然たまたま今の命があるだけだと思い知らされた。
今、あなたの隣にいる人が明日もいるとは限らない。
そんなことを、息子たちに時々伝えてきた。
だから、お母さんは他のお母さんよりも少し心配性なところがあるかもしれない。ごめんね、と。
そのせいか、時々「お母さんが心配しているかもしれない」と心配する息子たち。
私たちはお互いを心配してばかりだ。
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「オレはアイツの分まで生きる。決めた」
13歳で旅立つのは早すぎる。
これからも、まだまだ一緒に遊ぶつもりだった。
コロナが落ち着いたら、またいつものチームのみんなでご飯に行こうと思っていた。
もっといろんな世界を見せてあげたかった。
いろんな愛情を知ってほしかった。
ちゃんとあなたはたくさんの人から愛されているんだよ、と伝えたかった。
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Y、不安にならなくて大丈夫だよ。
あなたは本当に素晴らしい。
チームのみんなはあなたのことを、本当に本当に大切に思っている。
これからもずっと忘れない。
次にまた会う日まで。
(MJ智原美沙/福岡市)