お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

大阪版4月号/編集長レポート/母たちが奏でる音色が、ママさんブラスの魅力!

編集長レポート ママブラスひらのMerri(平野区)

母たちが奏でる音色が、ママさんブラスの魅力!

「ママさんブラス」とは、お母さんたちが集まって楽しむ吹奏楽団のこと。
定期演奏会や施設への訪問演奏など、自ら音楽を楽しみながら地域に音楽を届ける活動。
音楽を愛するお母さんたちの全国的なムーブメントです。
大阪市平野区を拠点に活動する「ママブラスひらのMerry 」の練習日におじゃましました。

ひらのMerryのはじまり
今から 10 年前、代表の粕野 真由美さんは息子の幼稚園に
演奏に来たママさんブラス 「マムズ・ウインド・オーケストラ・クローバー」
(住吉区) の皆さんが、子どもをおんぶしながら演奏する姿に感動。
すぐに入れる団を探したが 時間や条件に合うところがなく、一時は断念。
そして「ないなら自分でつくろう。私みたいな人もきっといるはず」 と走り出した。
中学校の部活 以来 25年ぶりに、音楽への情熱が再燃した瞬間だった。

4歳と1歳の兄弟を連れて、練習できそうな施設を探しては交渉。
ホームページやチラシでメンバー募集も始 たが難航した。
それでも母のすることを無 条件で受け止め、
応援してく れる子どもたちに勇気をもらい、
2010年4月、はじめての練習日には、 10人のお母さんが集まった。

音楽を楽しむ一人になる
メンバーの顔ぶれは多種多様。
専業主婦もいれば仕事を持つ人もいる、
子育て真っ最中の人もいれば卒母組もいる。
20 ~ 50 代のお母さん32 人と、お父さんが1人。
平野区を中心に、泉佐野や堺からも集まってきた。
入団時には、呼び方を自分で決めるのがルール。
あえて名字では呼ばず、名前やあだ名で呼び合うように。
「育児サークルではないので、基本、家の話はしない。
家庭のことを忘れて音楽を楽しむ空間であってほしい」と粕野さん。
9時半集合で設営と準備、 子どもを託児室に預ける人はせわしく走り回る。

練習室に連れて入る人もいる。楽譜を セットしながら音を出し、
同じパートで合わせるうちに、 徐々に吹奏楽団の空気になる。
朝礼、基礎トレーニングから合奏へ。

お母さんにおんぶされて参加した1歳の女の子。
最初はリズムに合わせて手足を動かしていたが、
心地よい音色に誘われるように、お母さんの背中で寝てしまった。
11 時の休憩には託児室に走り、子どもにおやつを与え、
また忙しく戻ってスタンバイ。

12 時解散だから、演奏できるのは正味 80 分。
だからこそこんなに真剣に、こんなに楽しそうに、いきいきと演奏できるのだろう。
お母さん一人ひとりにとって、貴重な「自分時間」。
「上の子が帰ってくるから急がなきゃ」「夕飯の買い物もしな くちゃ」と
大荷物を抱え、足早に帰っていった。

さっきまで音があふれていた部屋も、にぎやかだった託児室も
シーンと静まり返って いる。
またそれぞれのおうちでパワフルな日常が始まる。

仲間と共有する時間
ブランクもレベルも人によってまちまちだが、
共有する時間の中で少しずつ音を合わせ積み重ねていく。
一人ひとり学んできたことがあるので簡単ではないが、それが面白いという。
この日の指導は、府立春日丘高校の吹奏楽部、
池田市のまちかね山吹奏楽団で指揮を執る森山慎也さん。
「共鳴する音を探しながら演奏する姿は立派なアーティスト。
それぞれが家庭でいい時間をもつことで、皆の思いが合わさり、音になる。
お母さんのやさしさやたくましさがいい音楽をつくる。
それがママさんブラスの魅力です」。
楽器を奏でる人、その音を聴く人…、ママさんブラスによって、
たくさんのお母さんが笑顔になりますように。


「母たちのパワーは無限 ですね」と森山慎也さん

活動5年目になる、赤松 章代さん&大祐くん親子

ママブラスひらのMerryを指導する 福島秀行先生に聞きました
私のライフワークです
結婚しても、子連れでも、できるバンド =ママさんブラス。
これや、これしかない! 楽器を続けたいお母さんたちを
なんとかしてあげたい。そんな思いから、平日午前の練習、
子連れ参加OKという画期的なコンセプトで、ママさんブラスを立ち上げました。
コンクールに出ないのに真面目に練習ができるのか?
子どもが騒いでも怒らないのか?…いろいろ不安はありましたが、
共通理解が深いため問題は皆無でした。
日本の吹奏楽は、「ママさんブラス」によって生き残れる!とすら思いました。
シンポジウムを開催し、あちこちにママさんブラスを立ち上げ、指導を引き受けています。
2017年には念願の全国フェスも開催。
市民吹奏楽団活動を続けながら、ママさんブラスの指導にハマっています。(福島秀行)

奈良県吹奏楽連盟理事長。6つの市民バンドやママさんブラスを指導・指揮。
関西のママさんブラスの第一人者として活躍

(お母さん業界新聞大阪版編集長 宇賀佐智子)
お母さん業界新聞大阪版4月号掲載

 

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