お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

【大阪】地域企業が図書館を応援する/辰巳商会中央図書館

 株式会社辰巳商会が大阪市立中央図書館のネーミングライツ(施設命名権)パートナー(愛称/辰巳商会中央図書館)や、子ども向け調べ学習図書の寄付など、地域の子どもたちのためにと地域社会へ貢献をはじめ、2022年度も同じくネーミングライツパートナー、図書(累計約2000冊)に加え、大型デジタルサイネージ(87インチ)を寄贈した。大きな画面は図書館1階エントランスに設置し、大阪市立図書館デジタルアーカイブで公開している貴重な画像を高画質・大画面で観ることができる。

4月15日大阪市長感謝状贈呈式が行われた。

「幕末の大阪の町並みなど極めて精細な画が生き生きと映し出され、
入館者を迎えています」と飯田明子館長(右)。西豊樹代表取締役社長(左)。

  • 見えない仕事

大阪市立中央図書館から辰巳商会中央図書館(愛称)に変わったとき、どれだけの大阪市民が「辰巳商会」を知っていただろう。ネットでは「辰巳商会ってどんな会社?」と賑わった。大阪の老舗企業だが、「子ども」や「子育て」に直結しない企業名には違和感があったかもしれない。

株式会社辰巳商会は1920年に大阪港で創業、現在も大阪市港区に本社を置き、日本国内、海外へも展開する物流企業だ。大阪港コンテナ取扱量1位、国内タンクターミナルシェア1位など、内航海運(国内の海上輸送)から始まり、現在は海運業、港湾運送業、倉庫業、陸運業、ケミカル・ターミナル、航空・複合輸送業、プラント輸送業を展開している。

海運業とは船舶を用い旅客又は貨物を海上輸送すること、港湾運送事業とは輸出入を支える事業。日本には約3000の港(漁港を含む)があるが、港湾運送事業法の適用対象港は全国に93港、そして港湾労働法(厚生労働省)適用対象となるのは、6大港と呼ばれる東京、横浜、大阪、名古屋、神戸及び関門港。物流業界は「日本の心臓部を担う仕事」と言われる。島国である日本にとって港は荷物や人・文化などさまざまなものが行き来する現在も重要な場所であり、港湾事業は私たちの生活のあらゆるところを支えてくれている大切な業界だ。

 一見、子育て世代には馴染のない企業が、こうして子どもたちの未来のことを考えて行動することについて、社内ではどんな反応があったのか。

「社内では、これまで多くの皆さんには見えない企業だったのに、こうして知ってもらえることで地域に近づいたと思えてうれしいとの声、また同業種の方からも『いいことだ』と興味を持たれています」と、西豊樹代表取締役社長は答えた。

社内にもお父さんお母さんがたくさんいるだろう。自分の会社が社会的貢献の役割を担い、地域貢献に積極的に取り組み、地域で育つ子どもたちに伝え、子育てを応援していることは社内外に向けても企業が行うSDGsの一つであると考えられる。

昨年12月には南港コンテナヤードで初の港湾見学会を開催、大阪市立南港桜小学校5年生123人が港湾作業を学んだ。普段目にしない仕事の現場を見る貴重な体験は子どもたちに大好評。見学用の港湾の仕組みをわかりやすく説明した「夢はこぶ学習帳」は「海外からきたモノがみんなに届くまで」「港で働く人をさがそう!」など、現場で働く人の意見を元に作成したもの。子どもたちは見学後も楽しんでつかっている。「海の仕事」について、子どもたちが興味を持つきっかけづくりに、今後も力を入れていくそうだ。

これまで見えなかった仕事を身近に感じることはきっと子育ての現場も豊かにするだろう。辰巳商会の皆さんは、子どもたちが寄贈図書を喜んで読む姿を目に浮かべながら、港のお仕事をがんばっていただきたい。本日もご安全に。

<株式会社辰巳商会>
大正9年(1920年)創業、大阪を基盤に総合物流業として
海運や港湾運送など主に海に関わる事業を展開し、国内の物流を支える。
本社は大阪市港区。
※数字で見る辰巳商会
★その他の支援/創業35周年記念事業のひとつとして「四宮育英奨学会」を設立(1954年)、現在は「公益財団法人 四宮育英奨学会」として昨年までの67年間に約2400人の学生に奨学金の貸与・給付をしている。辰巳商会グループからは年間1000万以上の寄付を続けている。

6件のコメント

企業が社会貢献として、世界の貧困や、地球環境に寄与するなどの話は多いと思いますが、
地元の図書館を応援するという、一見、地味な活動かも知れないけれど、
それが、どれほど、地域の人たちを笑顔にするかを、辰巳商会さんは、理解されているのでしょうね。
今、貧困社会が課題になっていますが、一番の貧困は、心の貧困。

コロナ禍で、閉塞した世の中に、たくさんの本たちが、地域の人々の心を潤してくれるでしょうね。

宇賀さん、いい記事を書いてくれて、ありがとう。
このような企業の取り組みが、もっと、もっと、ひろがりますように。

宇賀さん、えほん箱繋がりでの取材ですか?
仕事で関わる会社で知ってはいましたが、このような取り組みをされているとは!!とってもいいニュースでした。
社員さんには、働くお父さんやお母さんもいるでしょうし、さぞかし誇らしい気持ちでしょう。関わる私も、なんだか嬉しい気持ちになりました。

この記事を読んで調べて、ネーミングライツという取り組みがあることを知りました。
制度自体には賛否両論あるようですが、生活を支える物流業を担う企業が市民の憩いの場を目に見える形で支援することは素敵ですよね。

子どもが生まれたことで公共施設のありがたみを実感しています。
こうした取り組みが自然なもので、より賞賛される社会にしていきたいですね。

宇賀さんと図書館との長いお付き合いからできたインタビューですね。
ネーミングライツパートナーというものがあることも知らずにいましたが、公立故の予算枠からくる図書購入の限界や運営の限界が有ります。その中で(株)辰巳商会さんが図書館へ交換していただけることは市民にとっても大きな財産です。市民が作り上げていく文化の大切さの表れですね。公的予算が減らされる一方で方や、企業さんが参加いただけることは企業さんの名前もしっかり市民に根付きますし、そのありがたみも後世に語り抱かれることでしょう。市民の文化で一番利用しやすい図書館と海運業さんとのつながりも思えば、そうして昔から四方の文化交流があり今に至っているのですよね。
絵本を始め読み物や調べ物と図書館の利用はなくてはならないものです。
ありがたい企画に大阪府民としても大いに評価し今後の図書館運営に反映してほしいものです。
大阪市内のこととは言え、広く世間に知っていただくこともお母さんならばこそ気が付き動けることなのでしょう。宇賀さんの益々の活動を讃え、(株)辰巳商会さんのお仕事の内容も知って大阪の文化を華やかに発展してほしいです。ありがとうございます。

港湾関係の仕事をしていたので、辰巳商会さんのことは知っていました。
でも同業の会社の中で、このような取り組みをされているところは、聞いたことがないので驚きました。
一気に興味が湧きますね。
子どもたちの未来ために!その思いが社会を良くしていき、その会社も輝く。
そんな循環がどんどん生まれたらいいな。

目に見えないモノにどれほど私たちは支えられているかと気づかされる日々です。

昨日は、オンラインでさかなのイベントを主催しました。
さかなのおにいさんかわちゃんを先生に、たくさんの親子が、海のいきものについて楽しく学んぶ機会になりました。
いろいろ学んだ最後は、「このままだと、10年、20年先に、海から魚がいなくなっちゃうよ」と話し、「でも、今日からみんなが少しだけ、生活を変えてくれたら大丈夫だよ」とかわちゃん。
水をきれいにする、ごみを出さない、脱プラスチック生活を提案すると、小学生はもちろん、3歳くらいのお子さんも、うんうんと、お母さんやお父さんとも話しながら、熱心に聞いている姿が印象的でした。

貿易大国である日本、どれだけ海の仕事に支えられているかわかりません。
そんなことを伝える活動ができたらいいですね。

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ABOUT US
宇賀佐智子
大阪の宇賀佐智子です。30歳長男・27歳長女の母。大阪エリア版編集長を2018年から4年間務めました。子育てが楽しくなる大阪、誰もが子どもたちの未来を考える大阪、美味しい楽しい大阪を目指します♪