お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

MJレポート  熊本の大家族21年間の記録が映画に! 7男3女の“信子かあさん”独占インタビュー

熊本の大家族21年間の記録が映画に!
幸せは、すぐそこに。
7男3女の“信子かあさん”独占インタビュー

宇土市在住、夫婦と7男3女の大家族、岸一家を21年間追い続けたドキュメンタリー映画『人生ドライブ』が完成!先月末から、全国順次公開中だ。

主人公の岸信子さんは、本紙「お母さん業界新聞」創刊時に、「信子かあさんの大家族日記」を長く連載、イベント「百万母力祭」に登壇してくれたこともある。

今回は試写後に独占インタビューを実施。ここでも終始、いつもの信子かあさんの笑顔に私自身が満たされた。信子かあさんの母心、生き方の信念が家族に通じ、大切にされていることがわかる。

子育てのヒントはもちろん、家族や人生を考えるきっかけになる映画。「人生ドライブ」の終着点は?    (レポート/池田彩)

ポレポレ東中野ほか
全国順次公開中

令和4年文部科学省選定映像作品
公式サイト●jinsei-drive.com

監督:城戸涼子
ナレーション:板谷由夏
製作著作:KKT熊本県民テレビ
配給:太秦
Ⓒ2022 KKT熊本県民テレビ

*映画のストーリーと見どころ*
KKT熊本県民テレビが約20年以上にわたり放送してきた、熊本県宇土市に暮らす夫婦と10人の子どもの大家族ドキュメンタリー番組を再編集した劇場版。自宅の全焼や熊本地震などいくつもの困難を乗り越えてきた一家。1か月に一度、自分が生まれた日に両親を独り占めできる「○○ちゃんの日」の約束、忙しい合間を縫って夫婦でドライブを楽しむ様子など、大家族の日常を映し出す。

ペンを持っていたから

情報誌『ESSE』の生活エッセー大賞を受賞した記事がKKTのディレクターさんの目に留まり、密着取材がスタートしたのは2000年頃でした。

少女時代『少女パレアナ』が大好きで、パレアナを真似て「よかった探し」をしていました。子育て中はうれしかったことだけを書く「よかったノート」をつくっていました。

そこにはうれしかったことだけを書いているので、落ち込んだときも、開けば必ず元気が出るし、ノートを見ればすぐ「楽しかったそのとき」に戻 れます。

ペンを持つということは日々の他愛のない出来事や瞬間を切り取り、特別なものにすることができます。それを人に読んでもらうことで、共感や共鳴を得ることも。ペンを持って、本当によかったと思います。

約480時間の家族記録
撮影は今も続いていますが、21年間の記録は480時間以上。実は映画の完成間近、五男の日向(ひゅうが)が慢性骨髄性白血病になり、映画には流れませんが、熊本(KKT)では放送されました。今は薬で安定し、復職もしています。

撮り続けていただいていることに感謝ですが、映画化の話はびっくりでした。改めて家族の21年間を93分で観ることができ、感慨深いです。

どの場面も目に焼き付けておきたく、熊本で先行公開されてから1週間、チケットを買って毎日劇場へ。観るたびに忘れていた記憶が蘇り、子どもを愛おしく思う気持ちがさらに強くなりました。

大家族ならではの子育て
月に一度、自分が生まれた日にお父さんお母さんを指名し独り占めできる「○○ちゃんの日」だけでなく、話したそうにしているのを見逃さず「お買い物に行こう」と一緒にスーパーへ。行き帰りだけでも一対一で話す時間をつくるようにしていました。

映画に出てくる「お手伝い当番」以外に、バイト制度もありました。たとえばタオル畳みは5円、一番高い草むしりは1区画200円。友だちの誕生日会でお金が欲しいときなど「3区画やっていい?」と聞いてきて、真面目に働き稼いでいましたよ。

夫が一番なワケ
「英治さん(夫)が一番」そう思っても、子どもへの愛は絶対だから、夫の横に必ず並びます。でも「子どもが一番」と思った瞬間、夫はドーンと下がっちゃう(笑)。

だから意識して「夫が一番」と思うようにしています。お母さんはお父さんが大好きで、お父さんはお母さんが大好きなこと、お互いを大事にしていることは子どもにも伝わります。

外国映画では子どもの前でも夫婦でイチャイチャするシーンがあって、憧れでした。今でもお互いを名前で呼び、出かけるときはハグやキスを。

子どもが小 さい頃は、子どもの前でケンカをしないように。むかついたときは「お父さんとちょっと出 かけてくるね」と笑顔で手を振って車の中へ。

バタンとドアを閉めた途端に「だからね!」と夫に怒りをぶつけ、言いたいだけ言って、スッキリしたら「ただい ま」と笑顔で帰るんです。

子育て中のお母さんたちへ
3人目までは他人の目を気にしていましたね。「お金もないのに次々に産んで…」と言われたくなかったからです。「手伝いましょう」と言われても、大丈夫!と平気なフリ。

でも4人になると物理的に手が足りなくなり…。いざ人に頼んでみると、みんな喜んで助けてくれました。自然と謙虚な気持ちが生まれ、「私はできる」と思っていたのは高慢だったと気づかされました。

子育て中のお母さんたちには、周りにいっぱい頼って、自分のエネルギーをチャージしてほしいと思います。

人生ドライブは続く
夫婦お揃いの指輪には「endure to the end(最後まで 耐え忍ぶ)」という聖書の言葉の頭文字「ETTE」が刻ん であります。でも、夫の一言に共感し「enjoy to the end」 と読み替えることにしました。

子育てが終わったと思ったら、次のステージが待っていました。孫たちのお世話を手伝ったり実母の介護をしたりで、けっこう忙しい毎日です。

大変なときもありますが、これからも日々の幸せを大切にしながら、楽しく過ごせたらいいなと思っています。

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