お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

海苔巻きの思い出から…

最近、幼稚園を渋る五月病の末息子。

今朝もご機嫌ななめで、「朝ごはん食べない!!」からのイヤイヤがスタート。

「ママがお隣に座って、海苔巻きまきして!!」と。

朝の忙しい時間の中、小さくため息をついて…隣に座り、海苔巻きをつくった。

ふと思い出す。

海苔巻きから、カレのことを…

 

10年以上前になるが、小児看護師として血液内科に勤務していた私。

白血病や悪性腫瘍といった難病の子に対し、看護師として関わっていた。

4年近く入院していたHくん。

5歳だったけれど、体は2歳くらいの大きさだった。

病気の為、食事がすすまない。

面会時間外の朝食は、お母さんの代わりに看護師が隣に座り食事介助に入る。

海苔巻きが大好きな子だった。

海苔巻きといっても、中にいれるご飯は3粒というのがルール。

こっそり5粒くらい入れるものなら、「よちだちゃん(私の旧姓)、ごはんいれすぎ!!」とチェックが入る。

一緒にトーマスのDVDを観ながら、小さい小さい海苔巻きを作った。

食事を済ませると、お母さんたちが把握できるように食事摂取量を書いた紙があり、そこに『三粒海苔巻き10個』と書いた。

子ども用スプーン1口分くらいだろうか。

1歳のころから入院しているHくんは、感染リスクが高いので外泊もほとんどできず、病院の世界が全てだった。

「外の世界にはトーマスが走ってるって本当に思ってる」

Hくんのお母さんが笑いながら、よくそんな事を言っていた。

 

たくさんたくさん頑張って、Hくんは5歳で空に旅立った。

今の末息子と同じ歳だ。

 

お母さんになった今の私ならもっともっと、気分を盛り立てて工夫してご飯を食べさせられたかもしれない。

海苔巻きだって上手に作れたかも。

…お母さんやお父さんに、もっと寄り添えたかもしれない…。

こうやって当時を思い出すと、そんな事を思ったりもする。

けど、お母さんでなかったから、できた仕事だったのかもしれないとも思う。

我が子だったら…と毎回のように思っていたら、胸が張り裂けてしまいそうだ。

 

そんな事を思いながら、結局ご飯茶碗一杯をペロリと平らげた末息子をみて、感謝の気持ちでいっぱいになる。

毎食のように美味しそうに食べてくれてありがとう。

「ママ」って呼んでくれてありがとう。

抱きしめたいときに、抱きしめさせてくれてありがとう。

目の前で、生きてくれていてありがとう。

 

悲しいニュースが続く中、どこか気分が沈んでいた私に、Hくんが空からメッセージを送ってくれたのかも。

あの時も、今も、大切なことをたくさん教えてくれてありがとう。

私の作った海苔巻きを美味しそうに食べてくれたHくんの笑顔が浮かぶよ。

ずっとずっと忘れないよ。

 

 

10件のコメント

貴重な貴重な話をありがとうございます。
朝から今日は一花を叱って反省。そんな記事を書こうと思っていた矢先に読んだ脇門さんの記事。
あー--、ほんとにご飯食べて元気でいてくれるだけで感謝なんだと涙が出てきました。
こんな子どもたちが日本中、世界中にたくさんいるんですよね。

本当に素敵な記事、
そして素晴らしいお仕事をされてきたこと
あらためて尊敬です。

「食べられない子もいる」「生きられない子もいる」って
何もかも受け入れられる訳でも
怒らずにいられる訳でもない。

でも、怒ってる時もうまくいかない時も
そうやって立ち止まれていることすら幸せだということは
忘れずにいたいと思いました。

ほんとにすごい仕事をしてきたんだね。
胸いっぱい。
朝の忙しい時に小さくため息をついて…ってところにとっても共感。
欲を出してしまうけれど、でも、元気でいてくれたらそれが一番だよね。
大切なこと。私もひろちゃんのその経験を通して気付かされたなぁ。ありがとう!

ひろちゃんが発信してくれたことによって、海苔巻きの僕が生きた証が一つ増えたかな。なんて、、綺麗事かな。我が子だったら…と思うと言葉にできない。
子どもにできることが増えると、新たなことを期待してしまう。欲深い母。
ご飯を食べてくれてありがとう。今日も生きていてくれてありがとう。だね。

私の知らない世界を教えてくださり、本当にありがとうございます。

たくさん食べられない子がいることも知っているつもりでしたが、実体験がないのでこんな気持ちになるということを初めて知ることができました。

好き嫌いされたり、お椀をひっくり返されて怒っちゃったりすることもありますが、たくさん食べてくれるわが子にあらためて感謝するきっかけをいただけました。

読んですぐはコメントできなくて、ごめんなさい。
皆様のコメント、わたしの気持ちも同じくです。
そして、言えることは、比呂子さんのお陰で、海苔巻きの思い出と共に、いつまでも皆の心の中にHくんが生き続けるということ。

彼が3粒の海苔巻きを美味しそうに食べる横で微笑んでいる比呂子さんの様子が目に浮かんできます。二人とも笑顔です。

電車の中で読んで胸いっぱい。大切な思い出からの脇門さんの想いを伝えてくれてありがとうございます。

最近、7歳娘がおままごとにまたハマり出して。それはそれは目をキラキラさせてご飯を作るんです。

「さぁ、どうぞー✨食べてー!」って
言う時の嬉しそうな顔。

それを見て、面倒くさいと流れ作業のようにやってしまう時もあるご飯づくりも、なんと尊いことなんだろうってちょっと反省したところでした。

食べてくれてありがとうですね。

3粒の海苔巻き、Hくんきっと美味しかっただろうな。

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ABOUT US
脇門比呂子
神奈川県横須賀市に住んでいます。 長女小4、次女小1、長男幼稚園年中、3人のお母さんやってます! まさか自分が3人の母になるとは?!同じ繰り返しの日々のように感じ、悶々としていた時にお母さん大学に出会ったのが3年前。 ありのままの自分に自信が持て、子育てが心から楽しめるように!MJプロです^_^