お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

手をつないで ムーブメントをおこそう!~東大先端研、個別最適な学び寄付研究部門より

小中学生の不登校児童生徒数が24万人を超えた。文部科学省の「問題行動・不登校調査2021」によると、20万人を超えたのは初めてだ。東京大学先端科学技術研究センター「個別最適な学び寄付研究部門」で、学校になじめない子どものための面白いプロジェクトを行っていると聞いて、6月9日、「東大駒場リサーチキャンパス公開」で開催されたLEARNセミナー「社会と共に子どもを育てるLEARNプログラム ~企業は子どもの教育にどのように貢献できるか~」を取材した。
(お母さん大学福岡支局長・池田彩)

東京大学先端科学技術研究センターでは2021年、それぞれの個性を発揮できる学びの場「LEARNプログラム」をスタート。企業と連携し、「学校を離れるからこそできること」でユニークな場を提供している。

学校教育に適応できなかった子どもたちのためのプロジェクトもその一つ。子どもたちがありのままの自分でもいいと安心し、学びの面白さや自由さに気づくことを目的としたプログラムである。

この日のセミナーには、合同会社MIRAISEの岩田真一さん(元スカイプジャパン社長)、ポルシェジャパン株式会社の黒岩真治さん、株式会社ニトリホールディングスの似鳥昭雄さんが登壇。

プログラムへの参画意義や内容について話し、社会全体で子どもを育てるということはどういうことなのかを考える、貴重な機会をいただいた。

筆者自身、学校に行ったり行かなかったりの子どもたちと、日々向き合っている母親である。子どもが学校に行かないことへの迷いは払拭された現在ではあるものの、各人の話はどれも、希望を超えて大きな勇気となった。

岩田さんは、「スカイプが生まれたIT先進国であるエストニアには、大人が社会に出てから困ったことをフィードバックして教育カリキュラムに入れる仕組みがあり、社会全体で子育てをする環境ができている」と力説。

「子どもたちの夢を応援することは、企業にとって大切な社会へのコミットメント活動であり、ポルシェの哲学やブランド力を使って世の中にもっと知ってもらいたい」と黒岩さん。

今プロジェクトの代表である中邑賢龍さんは、「国を変えるのは容易ではない。だからこそ自分たちの手でムーブメントをつくることが大切」と締めくくった。

もはや学校に行く行かないは、一部の人たちが家庭や学校で悩むレベルの問題ではなく、「生きる喜びにつながる本当の学びとは何か」と日本の教育を問う大きな社会課題である。

これからの社会で強く生き抜く子どもたちを育てるために、私たち大人には何ができるのか…。私も気づいた一人として、子どもたちの笑顔と未来のためにムーブメントをおこしたいと思う。