お母さん大学は、“孤育て”をなくし、お母さんの笑顔をつなげています

暇にしないことが命をつなげた〜うつうつお母ちゃんの産後道vol.9~

息子の妊娠・出産では、心療内科の先生から宿題が毎回出ました。
その中で大変だったのは「暇にしない」ということでした。

具体的には、

1、仕事を辞めないこと 
2、毎日1万歩歩くこと(出血があってからは7000歩)

です。

「歩くこと」は陣痛が始まるまで必死でやった宿題でした。
頭の中に「ゆとり」なんていうものはありませんでしたし、
歩かなかったら、私はどうなるのだろう?というある種の強迫観念にかられていましたので、
元旦以外は雨の日も風の日も雪の日も、一日も休まず歩き続けました。

仕事も臨月に入るギリギリまで続けました。
今、思うと「暇にしないこと」は、薬を最小限にして出産する最も有効な方法だったと思います。

お腹は大きくなるし、精神的にもマイナス思考が止まらない。
身体も心も限界でしたが、一日一日を必死に過ごすことは生きることにつながり、
それが赤ちゃんと私自身の命をつなぐことになったのです。

病的に「歩くこと」を続けた私は、お産の日もいつもと同様にせっせと歩いていました。

陣痛も、出血も最初はわからずにいたのですが、もしかして?と思い産婦人科へ。
着いたときには、すでにお産が始まっていました。

お産は誰から見ても安産でしたが、私は得体の知れない不安と向き合っていました。

ようやく自分だけの体になったことで、「これで、いつ死んでもいいのだ」と、
歪んだ方向へ安堵したのです。

つづく

文・写真 マザージャーナリスト大坪香織

お母さん業界新聞ちっご版Vol.54(2019年8月号)掲載
うつうつおかあちゃんの産後道Vol.9

うつうつお母ちゃんの産後道Vol.1「大丈夫じゃなくても大丈夫!」
うつうつお母ちゃんの産後道Vol.2「娘はかわいいけれど」
うつうつお母ちゃんの産後道Vol.3「肥だめに身を投げる状態」
うつうつお母ちゃんの産後道Vol.4「ちゃんと育児に戻るため」
うつうつお母ちゃんの産後道Vol.6「不安を取り除けるのは自分だけ」
うつうつお母ちゃんの産後道Vol.7「地域医療の連携で支えてもらった命」
うつうつお母ちゃんの産後道Vol.8「こうしてもらえて、本当によかった!」
うつうつお母ちゃんの産後道Vol.9「暇にしないことが命をつなげた」
うつうつお母ちゃんの産後道Vol.10「産婦人科、心療内科、助産師さんの連携のおかげで」
うつうつお母ちゃんの産後道Vol.11「育児は迷惑をかけながらやろう」
うつうつお母ちゃんの産後道Vol.12「産前・産後うつのあなたと、ご家族の皆さんへ」

2020年度「うつうつお母ちゃんの座談会」
産前・産後うつ経験者の大坪香織さんが話し手の当事者同士の会なので安心してご参加ください。
他、オンラインでも開催しています。詳細は随時更新中。
★2020年9月30日オンライン座談会 イベントページ

2件のコメント

毎日体を動かすことがいかに大事かが伝わってきて、裏返せば体を動かさない社会が作られたことです。
昔の辛さと今の辛さを整理しながら・・・それでも生まれてくる命には昔も今もはないですね。
得体のしれない不安の話、次をまた知りたいと思います。

池田さん
2年越しの返信をお許しください。
うつの時は、体を動かすことが本当にきつく、思考は不安が暴走し疲れてしまっているので
毎日歩く、という単純な課題さえとてもハードルが高かったのを今でも覚えています。
息子と生きる道は当時それしかなく、毎日必死てある意味病的に歩いていました。
でも、今の私があるのは「歩く」を続けた結果です。
うつのお母さん達にどれだけ大変なことか承知の上で「死ぬくらいなら、死ぬ思いで歩いてみませんか?必ず結果が出ますから」と
お伝えしています。
すぐ思考の歪みが取れた訳ではありませんでしたが、産後の回復に大いに役立ちました。

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ABOUT US
池田彩お母さん大学福岡支局長
お母さん大学福岡(ちっご)支局長/元お母さん業界新聞ちっご版編集長。長女が1歳の頃にお母さん大学に出会いマザージャーナリストに。ペンを持ったことで視点が変化し、「お母さんになれてよかった!」と心から感じる。久留米で活動をスタートして13年。現在は、久留米市合川町の「松葉荘」で居場所づくりをしながら、九州中のお母さんにお母さん業界新聞を届けようと奮闘中。3児(中3、小6、小2)の母/MJプロ/みそまるマスター/みそソムリエ