「たくましい」はうれしさみしい

その日は相変わらずの兄弟喧嘩で、久しぶりにずいぶんと激しい。

小3の次男は大声で泣き叫び、中1の長男は知らん顔。

原因はいつものように、よく分からない。

とりあえず床に突っ伏して泣いている次男の背中をさすってみたり、

「着替えてお母さんとドライブに行こう」とこっそり声をかけてみたりするけど、

大声で叫ぶばかりで今日はなかなか気分が切り替えられないみたい。

こういう時はそっとしておくのが一番私の被害が少ない。

だいたい私が口を出すとロクな結末にならない。お互いイライラして強制終了。

台所に戻って用事を済ませていると、向こうの部屋からガサガサ、ゴソゴソ・・・。

着替えをすませた次男が「外に行ってくる。」と一人玄関を出て行った。

一瞬ついて行こうかと考えたけど、まあ、まだ真昼間だし・・・と、

そのまま「いってらっしゃい」と見送った。

相変わらず長男はツーンと知らん顔。

どこまで行ったかな?と私ばっかりソワソワ。

しばらくして玄関ドアがガチャン!と鳴った。

「おかえり〜。」と出迎えると「外走ってきた。」

「え?どこ走ってきたと?」

「まず小学校に行って、そのあと中学校の周りを走ってきた。」

まさかそんなに走ってきたなんて・・・。

ずっと前に兄弟喧嘩の後、次男と二人でお風呂に入った時に

「お母さんはね、イライラして自分で気持ちがコントロールできなくなった時は

一度その場を離れるんよ。そうやって気持ちを落ち着かせるんよ。」と話したことを覚えていたのだろうか。

次男が自分で思いついて、なんとかしようと行動に移したことに胸が熱くなってきて

「えらい!えらいよ!自分で考えて動いたんやね!」とぎゅーっと強く抱きしめた。

次男は何も言わず、ただ少し照れ臭そうな顔をしてすぐにその場から離れていき

いつものようにYoutubeを見始める。

その背中を見て、「お母さん、オレは大丈夫だよ」と言われた気がした。

後になって長男も「え?一人で?すごいな、アイツ。」と驚いていた。

小心者の次男が、なんだかたくましくなっちゃって。

あー、嬉しいけどやっぱりお母さんはさみしいなぁ。

(福岡市/智原美沙)

ABOUTこの記事をかいた人

智原美沙

広島生まれ、広島育ち。ゲームとカープが大好きな長男(12歳)と、兄の真似がとにかく好きな次男(8歳)2人のお母さん。福岡市わたし版ひなたぼっこ版編集長。NPO法人Hand&Foot正会員。自分のこと、日々のこと、子供たちのこと、左手全指欠損の次男のことなどを書いています。