2020年新春藤本語録「百万母力」拡大版

▽新年あけましておめでとうございます。2020年の幕が開けた。昨年7月30日、トランタンネットワーク新聞社は、活動30年目にして社名変更、本紙タイトルまま「お母さん業界新聞社」となった。これならどんな会社か一目瞭然。さてお母さんの新聞社は、これから何をするのだろう…。答えは一つ。相も変わらず、「お母さんの笑顔」。でも、宇宙レベルに深く、お母さんの笑顔を追求していきたい。

▽令和幕開けの5月1日、新天皇が即位された。戦争を経験した昭和、大震災を経験した平成、激動の時代を経て新しい令和の時代を迎えた私たちは、次の世代に何を残せるのか。2001年12月1日、雅子さまが長女・愛子さまをご出産されたとき、「お母さん業界新聞」特別企画として、全国のお母さんたちから雅子さまへ、出産お祝いメッセージを送った。紙面はひとりのお母さんである雅子さまへのメッセージで埋め尽くされた。あれから18年。母としての苦労や喜びを経験された雅子さまだが、天皇即位後、皇后さまとしての晴れやかなお姿に感動とともに安堵した人も多かったはず。即位行事の中で何度か涙ぐまれたシーンも印象的だったが、愛子さま誕生後のインタビューで目を潤ませて語った「母親になって涙もろくなって」の一言が思い出された。

▽かつての皇家には3歳で両親のもとを離れ、「傅育官」に育てられる伝統的風習があったが、美智子さま(上皇さま)は、浩宮さま(徳仁天皇)には乳母を付けず家族で同居する生活を通された。浩宮さまが生後7か月の頃、公務で渡米することになった美智子さまは、世話役の侍従や女官に向け、育児メモを書いたノートを残した。それが「ナルちゃん憲法」だ。「ちゃんとお聞きにならなきゃいけませんと叱ってやってくださいね」「一日に一回くらいは、しっかりと抱いてあげてください」「ひとり遊びは続けさせてください。おとなは適当に動き回ってお仕事しているほうがいいようです」。母の愛によって誕生したナルちゃん憲法。皇室の慣習を変えた、母の力は本当に偉大だ。

▽未来がないニッポンの少子化問題。このまま少子化が続けば、2060年には、3割減の8600万人に。子どもを産み育てない社会は誰のせい?と世間を責めても何も変わらない。子育てがどれほど素晴らしい営みかを知っている母親たちが、本気で少子化について考える時。できることは山ほどあるが、まずは自分自身が笑顔になること。お母さんの笑顔があれば、世の中に山積するすべての問題が解決する。その意味を「お母さん業界新聞」で伝えていくのが、私たちの使命。

▽昨年10月から、幼稚園、保育園の無償化が始まった。働く母親たちにとっては朗報だが、別の視点で見れば、経済重視の社会が子どもを育てない社会へシフトさせている。子育ては未来をつくる大切な仕事。それを母親たちから奪ってしまうことの弊害は大きい。働くことを否定しているのではない。むしろ、孤立した社会の今、仕事を通じて人とつながる。誰もが子育てと仕事を楽しむ社会が必要だが、子育てを楽しまないままでは、いい仕事はできない。働く担い手が必要な企業がやるべきことは、地域で子どもを育てているお母さんを笑顔にすること。それが将来の人材確保につながることを、企業に伝えていくのも私たちの仕事。

▽世の少子化とは相反し、お母さん大学に少子化はない。もう子どもは1人で十分と思っていた人が次々に赤ちゃんを産む。お母さんはスゴイ! スゴイ!と言われるから、つい調子に乗って産む(笑)。いや、ペンを持ち、わが子を思いながら、母であることの喜びを感じていると、自然に赤ちゃんがやってくる。お母さん大学のキャンパスは家庭、そして地域。孤育て社会といわれて久しいが、家庭の中でも孤立している母親が多い。フランスでは少子化対策とはいわず、「家庭政策」という。子どもが生まれ育つ「家庭」という場を、今こそ見直すときではないか。

▽面白い統計がある。「夫の休日の家事・育児時間別にみた第2子以降の出生割合」(厚生労働省)を見ると、夫が家事・育児をしない場合は10%だが、参加時間が長ければ長くなるほど増えていき、6時間以上になると80%を超える。ということは、父親の協力がどれほど重要か、だ。男性の育児制度が日本の少子化対策につながるとしたら、「お母さん業界新聞」より「お父さん業界新聞」づくりが、お母さん業界新聞社のやるべきことかもしれない。昨年「お父さん業界新聞わたし版」を創刊した勇気ある大橋勝也さん(横浜)は、妻に代わって主夫をしている。家事、育児を担当したことで、世のお母さんたちがどんなに大変かを実感しただけでなく、毎日、子育てが楽しくてたまらないと。子育てを楽しんでいるお父さんの新聞が、日本の少子化を解決できるカギとなる⁉

▽産前産後の妻がいる男性の約1割がうつ状態となっている、と獨協医大チームが研究結果をまとめた。周産期の精神的なケアは女性だけの問題と思われがちだが、「産後うつ」のリスクは男性にもあるとして「母親だけでなく、父親への心理的なサポートも必要」とある。この記事を見て、「お父さん、うつになっている場合ではありません。あなたの仕事は、出産という命がけの仕事を乗り越えた妻を笑顔にすることでしょ!」と叫びたくなった。あ~、一日も早く「お父さん業界新聞」を創刊しなくては!

▽「太古の火星の水は、みそ汁ぐらいの塩加減」と、金沢大や東京工大の研究チームが発表。昔の火星にあった湖の水質を推定することに世界で初めて成功した。火星人がみそ汁を飲んでいたかは定かではないが、ユニークな発表だ。先日、出張移動の機内で観た映画『アド・アストラ』は、ブラッド・ピット主演の話題作。宇宙飛行士(ピット)が、同じ宇宙飛行士で太陽系の果てで消息を絶った父を捜す孤独な旅に出る様を描いていた。宇宙を舞台にしたSF作品であり、父と子の親密な人間関係を表現するヒューマンドラマでもある。父親とは何か?を求めて宇宙へ行くが、それは自分自身を探す旅でもあった。ブラピも子どもを育てる父として、この作品に取り組んだという。子育て中のお父さんたちに観てもらいたい作品だ。宇宙に行くブラピに、みそまるを持っていってもらいたかったな。

▽MJ記者・吉村優さんのある日の記事。
ーー21時15分。世の3歳児は、もう寝ている時間。わが家の娘は起きている。娘は、私の洋服のボタンを留めている。私のもやってと言うので、私も娘のねまきのボタンを留めている。そんな、なんでもないこと。そしてふと思う。この先幼稚園に入り、その先は小学校…。そんな日々に、「明日は幼稚園だから、もうおしまいね!」。いつかきっと、私は娘にそう言う。だからこそ今、なんにもない今日と、なんにもない明日を過ごす時間を、貯金しておこうーー何気ない日々の中にたくさんの宝物があることに気づいているお母さん。こんなお母さんが日本中に溢れたら、日本はどんなにいい国になるだろう。記事は「明日もボタンのある洋服にしようかな?」で締めくくられていた。吉村さんのおかげで、ボタンのあるパジャマが売れるかも。

▽お母さん大学には、吉村さんのような素敵な記事を書くお母さんがたくさんいる。昨年、お母さん大学が取り組む「百万母力協働プロジェクト」の企業説明会を開催したときのこと。企業の方たちの前で、お母さんたちに記事を読んでもらったら、事前予告も練習もしていないのに、驚くほどスラスラと、しかも情感たっぷりに読んだ。その姿に、なるほどこの記事(言葉)は、「お母さんの心」で書いているからなのだとわかった。IT社会に生きる私たち。ペンを持つということは、わが子に「お母さんの言葉」を伝え、つなげることだと確信した。企業に提案する「百万母力協働プロジェクト」とは、育休中(または育児中)の「お母さん社員」がお母さん大学で学び、新聞づくりを通して笑顔になり、仕事と子育ての両立を支える地域環境をつくること。社員が笑顔になれば仕事の生産性も上がり、売り上げに貢献できるはずだ。

▽本紙2ページで「お母さんたちに聞いたSDGs」を企画した。お母さん業界ではまだあまり知られていない「SDGs」だが、一部の大企業では必須化されてきているようだ。が、評価ではなく、それぞれが自分事にしなければ、社会にある課題は、何一つ解決しない。国連の気候行動サミットの演説で、「次世代を見捨てる選択をするなら、決して許しません」と指導者に迫った、スウェーデンのグレタ・トゥンベリさん(16歳)。彼女の行動により世界が動き始めたことは素晴らしい。けれども活動家だけではなく、普通の女の子として日々も楽しんでもらいたいと、彼女の母は思っていないか。

▽お母さん業界新聞社になり、3人の編集長が誕生した。「横浜版」の植地宏美は、なんの躊躇もなく手を挙げてくれた超ポジティブ母。男前なところはシングルマザーゆえか。もう少し編集長になることを悩んでほしかったと言うと、「悩んでる暇なんてありませんよね!」と返された。一方で「静岡版」の田村由佳利。半年以上、編集長になることを拒み続けてきた超ネガティブ母。が、誰よりお母さん業界新聞を愛する人。「田村さんが編集長にならないなら、静岡版は続けられない」という私の言葉に「それって脅迫ですよね?」と言いながらも、入稿直前に承諾した(させた)。そして「母力新聞」の沖山親枝。旭化成不動産レジデンス×お母さん大学がコラボ制作しているのは、子育て共感賃貸住宅「へーベルメゾン母力」の入居者を笑顔にするコミュニティ紙。声も体も小さいが責任感は人一倍。何より、やさしく人に寄り添えるお母さん。三人三様、キャラは違うが、それぞれ未来をつくるお母さん。2020年、新メンバーが加わり、ますますパワーアップするお母さん業界新聞社に、ご注目ください。

▽最後はこの人の言葉で、新年の藤本語録を終わりたい。「世界平和のために何ができるかですって? 家に帰って、あなたの家族を愛しなさい」(マザー・テレサ)。

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ABOUTこの記事をかいた人

編集部 青柳 真美

お母さん大学事務局兼お母さん業界新聞本部編集部。お母さん業界新聞編集チーフ。一般社団法人みそまる普及委員会代表。みそソムリエ。宅地建物取引士。仕事は、お母さんを笑顔にすることと、味噌を伝えること。具体的には、編集・企画・営業・イベント…。家族と仕事以外に、私の人生に欠かせないもの…車/映画/本/旅/食後のコーヒー。息子1人(28歳)。